住友林業は日本の耐震基準で10階建て木造ビルの実大振動台実験に成功

■ポストテンション耐震技術の高い耐震性とレジリエンス性を証明

 住友林業<1911>(東証プライム)は22日、米国カリフォルニア州で10階建て木造ビルの実大振動台実験を実施したと発表。同プロジェクトは、米国科学財団(NSF)と米国森林局(USFS)の助成を受けた「NHERI TallWood Project」の第2フェーズとして、試験体を同社オリジナルのポストテンション仕様に改修し、日本の耐震基準で検証した。阪神・淡路大震災級の大地震を含む複数回の揺れに耐えるなど高い耐震性が証明された。今後、国内外の中大規模木造建築で本技術の導入を進めていく。

■国内外の中大規模木造建築で本技術の導入を進める

 ポストテンション耐震技術とは、耐力部材に通した高強度の鋼棒やワイヤーロープに引張力を与えることで部材間の固定度を高める技術である。同社は中大規模木造建築の技術のひとつとして、2014年から研究してきた。2015年に当社筑波研究所の耐火検証棟に、2019年竣工の同研究所の新研究棟でも採用した。他の建築実例として2022年6月竣工の上智大学四谷キャンパス15号館にも採用している。

 同実験では、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)屋外振動台にて、10階建ての木造ビルの試験体を建築した。試験体は、LVL、CLT、MPPなどの木質材料で構成され、同社オリジナルダンパーを採用した。日本国内で実際に発生した地震波や、建築基準法で性能確認が求められる地震波で耐震性能を検証した。結果として、各加振終了時、構造躯体は復元力で直立状態に自ら戻った。全加振終了時、木材を含む構造躯体は損傷しなかったことが確認された。加振による振動エネルギーの多くをダンパーで吸収することができたことも明らかになった。

 住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開している。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素に貢献することを目指している。今後も森と木の価値を最大限に活かす研究開発を推進していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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