メディネットが急伸、糖鎖修飾改変T細胞の特許が日本で成立、がん免疫細胞治療の新たな可能性

■がん細胞に強いT細胞を作る「糖鎖修飾改変」技術

 メディネット<2370>(東証グロース)は7円高(14.58%高)の55円まで上げて急伸している。同社は29日、国立大学法人大阪大学と共同で出願した「糖鎖修飾改変T細胞」に関する特許が日本で成立したと発表した。この特許技術は、2-デオキシグルコース(2-DG)という糖の誘導体を用いて、抗腫瘍効果を高めたT細胞を誘導するものである。

 同社は、2014年から2019年までの5年間、大阪大学大学院医学系研究科最先端医療イノベーションセンターを活動拠点とする共同研究講座「免疫再生制御学共同研究講座」を設置し、次世代の免疫細胞治療技術の開発を行ってきた。本件特許は、共同研究の成果の一つとして大阪大学とメディネットが共同で出願していたものである。

 2-DGは、細胞内でグルコースを分解し、エネルギーを合成する解糖系を抑制する作用がある。これにより、免疫記憶と呼ばれる免疫系が病原体等に対して迅速かつ強力に活性化・増殖できる現象の確立に有利であることがマウスの実験で報告されている。また、2-DGは、細胞を構成するタンパク質に付加される糖鎖修飾にも作用することが知られている。

 今回、2-DGが糖鎖修飾を改変することによってT細胞の抗腫瘍効果を向上させていることを新たに見出した知見は、T細胞の体外での活性化・増殖培養中に2-DGを添加することを含む新しい発想の免疫誘導法である。2-DG処理したT細胞は、がん細胞傷害活性の向上、NK細胞の特徴を有し、さらにがん細胞の分泌する物質による免疫機能低下を回避することができるため、がんに対する免疫細胞治療の効果の向上が見込まれる。2-DG処理したT細胞は、キメラ抗原受容体(CAR-T)等のT細胞ベースのがんに対する免疫細胞治療に応用できる可能性があるという。

 同社は、同技術の研究開発を更に推進し、患者のQOL向上を目指した再生医療等製品の開発へと発展すべく、着実に進めていくとしている。本件による2024年9月期業績に与える影響は軽微であるという。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能  NTT<9432>(東証プラ…
  2. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  3. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る