KADOKAWAサイバー攻撃、出版事業は回復へ、全面的サービス復旧は9月見込み

■情報漏洩の調査は継続、結果次第で新たな発表も

 KADOKAWA<9468>(東証プライム)は7月29日、6月8日に発覚した同社グループのデータセンター内のサーバーへの攻撃被害の回復状況を発表した。同社は同事案発生以降、事業活動の根幹である経理機能の立て直しと、売上規模が大きい出版事業の回復を最優先事項として取り組んできた。経理機能についてはアナログ対応も含め既に平常状態に復旧し、出版事業も8月から段階的に出荷ボリュームが回復、8月中旬以降は一日当たりの出荷部数が概ね平常時の水準に戻る見込みである。

 出版事業では、ドワンゴ専用ファイルサーバーがサイバー攻撃を受けた際、被害拡大を防ぐための緊急措置として関連するサーバーをシャットダウンした影響で、出版製造・物流のシステムが停止した。これにより、6月には新刊が平常時と同等の水準を維持した一方で、既刊の出荷部数は平常時の3分の1程度となった。しかし、安全なネットワークとサーバー環境の構築を進め、システムに依存しないアナログ対応を実施することで、出荷部数の減少影響を最小化してきた結果、8月からは出荷ボリュームが回復する見込みである。また、独自の取り組みであるDOT(Direct Order Tablet)の再稼働や販売施策の強化を通じ、事案発生以降の出荷保留分や店頭で品薄となっているタイトルの埋め合わせを進めている。

 その他の事業においても、Webサービス事業では安全な環境下でのシステム再構築を進め、段階的にサービスを再開している。8月5日には「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」をはじめとする複数の主要サービスが復旧し、その後も「ニコニコチャンネル」などを順次再開することで、9月以降は全面的なサービス復旧となる見込みである。MD事業については、売上構成比が大きい商品の卸売販売が概ね平常通り実施できており、オンラインショップも8月以降に本事案による影響がほぼなくなる見込みである。同事案による同社連結業績への影響は現在精査中であり、情報漏洩の調査状況についても、外部の大手セキュリティ専門企業の支援を受けながら進行中である。KADOKAWAは8月以降段階的に商品・サービスの安定的な提供を実現し、事業の持続的な成長を目指しているとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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