【どう見るこの相場】マーケットはトランプ勝利で「黄金時代」先取り-減税・規制緩和に期待感

■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ

 「トランプ2.0政権」は、ハリス副大統領の敗北宣言演説では「暗黒時代」入りと警告され支持者になおファイティングポーズを維持することを訴えた。その一方では、トランプ前大統領の勝利宣言演説では、「黄金時代」入りが高々と謳い上げられた。どちらが正解なのかは、世界中が戦々恐々と注視しているが、マーケットは、もちろんトランプ前大統領持ちである。

 マーケットは、11月5日夜に開票が開始されテレビのライブ中継でトランプ優勢と伝えらえた途端に、6日の東京市場では「トランプトレード」が加速し、日経平均株価は、1005円高と大幅続伸した。翌6日の米国市場でもダウ工業株30種平均(NYダウ)は、1508ドル高と大幅続伸して史上最高値を更新した。トランプ前大統領が選挙公約としていた減税や規制緩和などで米国経済が再加速し、勝利宣言演説の「黄金時代」が再来することを先取りしたことになる。日本の自民党総裁選挙や総選挙のようにシソーゲームや大逆転劇もなく、やや拍子抜けした幕切れへの安堵感もあったのかもしれない。

 ただ、「トランプトレード」にはハリス副大統領の敗北宣言演説にあった「暗黒時代」の先取りも含まれている。関税引き上げや移民抑制の人手不足による物価上昇、インフレの再燃を背景にした金利上昇である。また、「ディール(取引)」重視の安全保障政策により中東情勢悪化の地政学リスクを招き、原油価格上昇としてインフレ加速要因となる可能性も無視できない。

■「暗黒か黄金か」市場の命運握る12月、日米金融政策が分岐点

 この「暗黒時代」か「黄金時代」かを占う最初のヤマ場は、今年12月中旬に迫っているとするのが、市場筋の共通した見方のようである。まずFRB(米連邦準備制度理事会)は、12月17日、18日にFOMC(公開市場委員会)を開催する。FRBは、11月6日~7日開催のFOMCでは政策金利を0.25%引き下げたが、この次回会合では利下げ中止の可能性もあるとされているからだ。利上げ中止となると、次いで日本銀行が、12月18日、19日に開催予定の金融政策決定会合へのプレッシャーが強まる。日米金利差の拡大から円安・ドル高となり物価上昇要因となるからだ。総選挙での政権与党の過半数割れは、物価上昇の家計圧迫が大きな要因となっており、「物価の番人」とされる日銀は難しい政策判断に追い込まれ兼ねない。

 この金利上昇の先取りで浮上するのは、金利敏感株である。代表は銀行株で、金利上昇による利ザヤ拡大で貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金利益が拡大し業績を押し上げる展開が想定されるからだ。今週14日に今3月期の第2四半期(2Q)決算を発表予定のメガバンクの業績動向が注目されることになる。しかし、メガバンクに先立って、すでに業績の上方修正、再上方修正、増配や自己株式取得などを発表したトリプルセット・ダブルセット行が相次いだ地銀株はさらに要注目となる。

 しかも地銀株は、業績動向ひつとっても今期2Q決算発表に先立って3月通期業績を上方修正した銘柄、2Q業績を上方修正し、その2Q決算発表時に通期業績を上方修正した銘柄、2Q決算発表時に通期業績を上方修正した銘柄などバラエティに富んでいるのである。きょう11日召集の特別国会で発足が有力の「石破2.0内閣」の地方創生政策でも追い風も受ける地銀株が、この決算プレイで「トランプトレード」にキャッチアップする展開は、想定範囲内となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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