【2024年度「上場企業の不動産売却」調査】件数減も総面積は拡大、大型取引が増加

■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額

 東京商工リサーチは6月30日、2024年度に国内不動産の売却を開示した上場企業は85社となり、前年度の97社から減少したと発表した。ただし、売却土地の総面積は70社が公表し、合計157万494平方メートルと前年度比約1.6倍に拡大した。とりわけ、1万平方メートル超の大型売却を実施した企業は24社(前年度18社)で、取引の規模が増大している。最多の売却面積はシャープ<6753>(東証プライム)の45万平方メートルで、堺工場の一部をソフトバンク<9434>(東証プライム)と積水化学工業<4204>(東証プライム)に譲渡した。

■譲渡益9割計上、シャープが最大規模の売却実施

 譲渡損益を公表した81社のうち、76社が譲渡益を計上し、構成比は9割超に達した。譲渡益総額は2,918億5,500万円で、前年度の半額程度に縮小。譲渡益トップはシャープ<6753>(東証プライム)の861億円で、日野自動車<7205>(東証プライム)、ヤマトホールディングス<9064>(東証プライム)が続いた。譲渡損失も5社が計上し、損失額は73億円超にのぼる。譲渡価額の総額は1,785億円で、シャープが最多の1,250億円を占めた。

 業種別では小売業が最多の10社で、赤字企業が半数を占めた点が特徴的である。続くサービス業9社は全社が黒字だった。不動産市況は全用途平均で4年連続の上昇となるなど好調で、商業地や工業地がとくに上昇率を伸ばした。コロナ禍で活発だった売却の動きは一段落したものの、大型譲渡の増加が目立つ。今後は金利動向や設備投資意欲次第で売却件数が増加に転じる可能性もある。

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