マルマエ、25年8月期(3Qより連結決算に移行)大幅増収増益予想、KMAC子会社化で事業基盤強化

 マルマエ<6264>(東証プライム)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開し、長期ビジョンとして「幅広い分野の総合メーカーを支える部品加工のリーディングカンパニー」を目指している。6月20日付で25年8月期連結業績(第3四半期より連結決算に移行)予想を公表し、M&Aも寄与して大幅増収増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り歩調だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。なお7月11日に25年8月期第3四半期決算発表を予定している。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工を展開

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開し、半導体・FPD製造装置の真空パーツを作るノウハウ、同業他社に比べて高い生産性・低コスト、急変動する半導体・FPD市場に柔軟に対応できる設備力、ワンストップ受注に対応する多工程生産能力などを強みとしている。25年4月には半導体スパッタリングターゲット用超高純度アルミニウム製品等を製造・販売するKMアルミニウム(以下、KMAC)(福岡県大牟田市)を子会社化した。

 作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月に第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 24年8月期の全社受注高は23年8月期比0.6%増の51億97百万円(内訳は半導体分野が13.4%増の37億94百万円、FPD分野が72.6%増の13億14百万円、その他分野が91.7%減の88百万円)だった。半導体分野の受注高を四半期別に見ると第1四半期が6億39百万円、第2四半期が8億49百万円、第3四半期が11億80百万円、第4四半期が11億26百万円で回復基調となっている。

 分野別の売上高は、半導体分野が21.5%減の35億58百万円、FPD分野が30.2%増の10億08百万円、その他分野が97.0%減の41百万円だった。半導体分野は通期ベースで大幅減収だが、在庫調整進展によって消耗品の受注が回復傾向となった。FPD分野はOLED向けが好調に推移した。その他分野は太陽電池製造装置部品の受注遅延が影響した。利益面は売上減少と稼働率低下で大幅減益だった。なお受注損失引当金は46百万円減少した。なお24年8月期の消耗品売上比率は半導体分野が53.2%、FPD分野が13.3%だった。

■消耗品強化で受注安定化を推進

 長期ビジョンとして「幅広い分野の総合メーカーを支える部品加工のリーディングカンパニー」を目指し、中期事業計画では成長戦略として消耗品拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営などを推進している。

 中期事業計画「Innovation」の目標値(事業環境変化に伴い24年10月に修正)としては、最終年度26年8月期売上高140億円、営業利益36億円、資産ベースROIC20%、負債ベースROIC18%、配当性向35%以上、年間最低配当額20円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資額(24年8月期実績5億円)は25年8月期が16億円、26年8月期が18億円の計画としている。なお中計見直しに伴って出水事業所(本社)の新工場計画を26年8月期以降に先送りする。

 売上高の目標は半導体既存顧客60億円、半導体新規顧客42億円、FPD+その他18億円としている。半導体既存顧客では半導体市場拡大や試作強化によるシェア拡大、半導体新規顧客では獲得済み顧客からのPOR獲得増加、FPDでは液晶市場拡大やEBW活用、その他では太陽光発電関連や人工衛星関連の受注拡大を見込む。

 また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。太陽光・蓄電池導入などによりサプライチェーン全体でのGHG削減に取り組み、2040年までにネットゼロ達成を目指す。さらに人材・ガバナンス面では、人材戦略の進化、次世代経営陣の育成、全社的リスク管理強化などを推進する。

 25年2月には、国際的な環境非営利団体CDPによる2024年度の気候変動に関する調査において、中小企業向け評価(SME)で最高スコアとなる「B」スコア(マネジメントレベル)を取得した。22年度には「D」スコア(情報開示レベル)、そして23年度には「C」スコア(認識レベル)を取得しており、着実なスコアの向上を実現している。

■25年8月期個別業績・配当を上方修正、連結業績は大幅増収増益予想

 25年8月期通期の個別業績予想は6月20日付で上方修正して、売上高が前期比60.7%増の76億32百万円、営業利益が11倍の17億23百万円、経常利益が40倍の16億74百万円、当期純利益が67倍の12億64百万円とした。前回予想(24年10月11日付の期初公表値、売上高76億円、営業利益16億円、経常利益15億円、当期純利益10億65百万円)に対して売上高を32百万円、営業利益を1億23百万円、経常利益を1億74百万円、当期純利益を1億99百万円、それぞれ上方修正した。売上高についてはほぼ想定水準だが、利益面については生産性改善効果などが寄与する見込みだ。

 25年8月期連結業績(KMACを新規連結して第3四半期より連結決算に移行)予想については6月20日付で公表して、売上高が112億54百万円、営業利益が19億円、経常利益が17億14百万円、親会社株主帰属当期純利益が12億65百万円としている。売上面では主にKMACの5ヶ月分(25年4月~8月)の売上高36.2億円が寄与する。利益面は、のれん等の発生に伴う償却費1億28百万円、株式取得関連費用(販管費)約1億円、借入金増加による金利負担が77百万円それぞれ発生するが、同社単体ベースでの営業利益1.2億円上振れ、KMACの営業利益4億円などを見込む。

 配当予想については6月20日付で期末10円上方修正して、前期比10円増配の40円(第2四半期末15円、期末25円)としている。連結ベースの予想配当性向は40.0%となる。

 なおKMACを通期連結する26年8月期の業績見通し、および新中期事業計画を25年8月期第3四半期決算発表までに公表予定としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上継続保有株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年8月末日現在で6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象としてクオカードを贈呈している。

■株価は戻り歩調

 株価は戻り歩調だ。週足チャートで見ると、13週移動平均線に続いて26週移動平均線を突破した。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。7月2日の終値は1493円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS99円93銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約2.7%、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS566円10銭で算出)は約2.6倍、そして時価総額は約195億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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