
■従来装置を上回る検知性能、緊急輸送道路交差点の8割に導入済み
名古屋鉄道<9048>(東証プライム)は5月22日、名鉄EIエンジニア・トヨタシステムズ・東邦電機工業の3社と共同開発したAI画像解析を活用した踏切監視システムの導入が50カ所を突破したと発表。2023年11月10日の本格運用開始から約1年半で、名古屋本線や常滑線など11路線51踏切への導入を完了している。このシステムは従来の障害物検知装置とは異なり、踏切内だけでなく周囲の状況も含めて人や自動車の動きをAI画像解析技術で検出・解析することで、事故の予兆を的確に把握する。
踏切事故の深刻な現状が導入の背景にある。全国では年間約200件の踏切事故が発生し、死傷者数は100人を超えている。これらの事故は列車の運休や遅延も引き起こすため、社会的影響は極めて大きい。踏切は「鉄道における弱点箇所」と呼ばれ、線路と道路が交差する場所では人や自動車が列車と接触する恐れが常に存在する。このような危険性に対処するため、名古屋鉄道、名鉄EIエンジニア、トヨタシステムズ、東邦電機工業の4社が連携し、AI技術を駆使した安全対策の強化に取り組んできた。
システムの効果は数値で実証されている。2023年11月の導入以来、大きな不具合もなく安定稼働を継続している。従来の障害物検知装置と併設している箇所での比較では、異常検知数が約3倍に向上した。緊急輸送道路との交差踏切には8割の導入が完了し、列車乗務員への迅速な情報伝達を通じて踏切事故の防止に大きく貢献している。カメラ映像に映る人や自動車の動きを詳細に解析することで、列車接近中の危険な状況を早期に発見し、事故の未然防止を実現している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)