【株式市場特集】地銀株、業績上方修正と株主還元で存在感増す

■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し

 金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の業績が好調である。メガバンクの第2四半期決算発表を控える中、地方銀行は業績上方修正や増配、自己株式取得などを相次いで発表している。業績上方修正のタイミングも各行で異なり、多様な展開を見せている。加えて、新内閣の地方創生政策による追い風も期待され、トランプトレード相場での上昇が見込まれる状況である。

■決算発表ラッシュのなか業績上方修正もバラエティに富み年初来高値更新行も

 決算発表ラッシュのピークとなった前週末8日に、年初来高値を更新し地銀株の存在感を際立たせたのは、第四北越フィナンシャルグループ<7327>(東証プライム)である。同行は、今年7月の今期第1四半期決算開示時に2Q業績の上方修正と増配、自己株式取得、株式分割の株主優遇のフルセットを発表し、8日の後場取引時間中に今度は3月期通期業績の上方修正と再増配のダブルセットを発表したからで、年初来高値更新後の株価は、なおPERは9.2倍、PBRは0.4倍、配当利回りは4.2%の評価にとどまっている。同じく2Q業績に続き8日に通期業績を上方修正し自己株式取得のダブルセットを発表したいよぎんホールディングス<5830>(東証プライム)もPER9.7倍、PBR0.5倍、配当利回り2.4%で年初来高値を更新した。

 この2行と同様に2Q業績を上方修正し、前週末8日の2Q決算発表時に3月期通期業績を上方修正した地銀株は、このほか5行を数える。コード番号順に三十三フィナンシャルグループ<7322>(東証プライム)、八十二銀行<8359>(東証プライム)、大垣共立銀行<8361>(東証プライム)、富山銀行<8365>(東証スタンダード)、フィディアホールディングス<8713>(東証プライム)である。このうち三十三FGと八十二銀行が同時に今期配当の増配を発表し、富山銀行は自己株式立会外買付取引を発表した。

■2Q決算発表前に通期業績を上方修正済みの4行も低PER・高配当利回り

 2Q決算発表に先立ってすでに3月期通期業績を上方修正した銘柄は、時系列的に武蔵野銀行<8336>(東証プライム)、池田泉州ホールディングス<8714>(東証プライム)、群馬銀行<8334>(東証プライム)、九州フィナンシャルグループ<7180>(東証プライム)と続く。この上方修正により群馬銀行は、連続して過去最高純利益を伸ばし、武蔵野銀行、池田泉州HD、九州FGは今期配当を増配し、武蔵野銀行の配当利回りは4.14%、池田泉州HDは4.17%に高まる。PERは4銘柄とも7倍~11倍と割安でPBRも0.3倍~0.6倍の評価にとどまっている。またしずおかフィナンシャルグループ<5831>(東証プライム)は、前週末8日の今期2Q決算開示時に通期業績の上方修正と増配、自己株式取得のトリプルセットを発表しており、バリュー株買いを牽引しそうだ。

 このほか2Q業績のみの上方修正を発表した地銀株も、今週週明け以降の2Q決算発表ラッシュのなか通期業績動向が注目されるところで、高配当行の東和銀行<8558>(東証プライム)、トマト銀行<8542>(東証スタンダード)、四国銀行<8387>(東証プライム)、大分銀行<8392>(東証プライム)、琉球銀行<8399>(東証プライム)などをマークしたい。第四北越FGへの追随期待を高めそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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