【トランプ2.0】パナマ運河返還要求の波紋:トランプ次期大統領の挑発的外交

■関税戦争の幕開け

 トランプ次期大統領の「トランプ2.0」政策は、関税戦争を軸に展開する可能性がある。就任当日からメキシコ、カナダ、中国に対する追加関税が予告され、特にメキシコとカナダには25%、中国には10%の関税が課される見込みだ。この政策は麻薬や不法移民対策という名目で実施されるが、3国間の貿易協定「USMCA」に深刻な影響を与える恐れがある。これにより、サプライチェーンが分断され、米国経済はインフレ圧力に直面するリスクを抱えることとなる。

■パナマ運河返還問題と米国の保護主義

 トランプ氏はパナマ運河についても通航料を「法外」と非難し、引き下げがなければアメリカへの返還を求める姿勢を示した。これは米国の国家資産としての重要性を強調する一方で、パナマの主権に挑戦する発言として波紋を広げている。パナマ側は直ちにこれを拒否し、独立と主権を譲らない立場を明確にしている。こうした発言は、米国の外交政策が単純な保護主義から他国の主権を脅かす方向に進む可能性を示唆している。

■保護主義のリスクと経済の行方

 トランプ次期大統領の政策は、貿易赤字の削減と「偉大なアメリカ」の復活を目指す一方で、他国との経済的な協調を犠牲にする可能性が高い。特に関税の引き上げによる製造業回帰は雇用回復の期待を高める一方で、インフレ加速や近隣諸国との関係悪化を招くリスクも伴う。一国主義的な経済政策の帰結として、アメリカ国内外の経済バランスが大きく揺らぐ可能性が懸念されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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