唐揚げ専門店が淘汰から定着へ、過当競争緩和で業界に転機、品質重視で活路を見出す

■小規模店の淘汰進むも、残存者は付加価値戦略で業績回復

 帝国データバンクの調査によると、2024年における唐揚げ専門店の倒産件数は16件となり、前年の27件から4割減少した。この数字は負債1000万円以上の法的整理案件のみを対象としており、実際の市場からの退出数はさらに多いとみられる。しかし、淘汰のペースは明らかに鈍化しており、市場が調整局面に入ったことを示している。

■小規模店の経営環境悪化

 コロナ禍での巣ごもり需要を背景に、参入障壁の低さから多くの事業者が市場に参入し、競争が激化した。さらに、輸入鶏肉や食用油、小麦粉などの原材料価格高騰により、低価格戦略による利益確保が困難となった。実際に2024年の倒産事例の9割以上が資本金1000万円未満の小規模店であり、経営基盤の脆弱性が露呈する結果となった。

■専門店の生き残り戦略

 過当競争の緩和とともに、大手飲食チェーンの撤退も進み、市場環境に変化が見られる。専門店では、セントラルキッチンの導入による効率化や、提供時間の短縮、メニューの多様化など、付加価値向上への取り組みを進めた。また、コンビニエンスストアなど競合製品の値上げにより、価格差が縮小したことも追い風となっている。

■今後の展望と課題

 生き残った専門店は品質重視の戦略によりリピーターの獲得に成功し、タピオカティーの例に見られるように、一過性のブームから定着化へと移行する兆しを見せている。しかし、おにぎり店などの新規参入や食品スーパーの品揃え強化など、競争環境は依然として厳しい。専門店には、独自の強みを活かした差別化戦略のさらなる推進が求められている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  2. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  3. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  4. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  5. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  6. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る