朝日ラバーは25年3月期は3Q累計赤字も3Qは一過性費用一巡で営業損益が大幅改善、指標面は支援材料

 朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は2月10日に25年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。売上面は自動車向けスイッチ関連用品の受注増加で増収だが、利益面は主力の自動車内装照明用ASA COLOR LEDの受注減少に加え、新規開発製品の立ち上げコストや既存製品の工場移管費用という一過性費用も影響して減益(赤字)だった。そして通期の減益予想を据え置いた。自動車内装照明用ASA COLOR LEDの受注回復遅れが影響する見込みだ。ただし四半期別に見ると第3四半期は一過性費用が一巡して営業損益が大幅に改善した。積極的な事業展開で26年3月期の収益回復を期待したい。株価は水準を切り上げて戻り高値圏だ。25年3月期減益予想は織り込み済みと考えられる。高配当利回りや1倍割れの低PBRも支援材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■25年3月期3Q累計赤字、通期減益予想据え置き

 25年3月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の56億53百万円、営業利益が8百万円の損失(前年同期は1億14百万円)、経常利益が6百万円の損失(同1億34百万円)、そして親会社株主帰属四半期純利益が46百万円の損失(同1億27百万円)だった。

 売上面は自動車向けスイッチ関連用品の受注増加等で増収だが、利益面は主力の自動車内装照明用ASA COLOR LEDの受注減少に加え、第2四半期までに計上した新規開発製品の立ち上げコストや既存製品の工場移管費用という一過性費用も影響して減益(赤字)だった。

 工業用ゴム事業は、売上高が4.8%増の43億39百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が61.0%減の88百万円だった。売上面は自動車スイッチ用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーの好調で増収だが、利益面は主力の自動車内装照明用ASA COLOR LEDの受注減少に加え、第2四半期までに計上した機能性ゴム製品の立ち上げコストや既存製品の工場移管費用なども影響して減益だった。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が18.6%増の13億14百万円、セグメント利益が33.9%増の1億12百万円だった。診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁、医療シミュレータなどが好調に推移して大幅増収増益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高18億38百万円で営業利益12百万円、第2四半期は売上高18億56百万円で営業利益61百万円の損失、第3四半期は売上高19億59百万円で営業利益40百万円だった。第3四半期は一過性費用が一巡して営業損益が大幅に改善した。

 通期の連結業績予想(24年10月30日付で下方修正)は据え置いて、売上高が24年3月期比2.5%増の73億63百万円、営業利益が77.0%減の36百万円、経常利益が85.6%減の28百万円、親会社株主帰属当期純利益が92.5%減の10百万円としている。配当予想も据え置いて24年3月期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 主力の自動車内装照明用ASA COLOR LEDの受注回復遅れが影響する見込みだ。ただし四半期別に見ると第3四半期は一過性費用が一巡して営業損益が大幅に改善した。積極的な事業展開で26年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は戻り高値圏

 株価は水準を切り上げて戻り高値圏だ。25年3月期減益予想は織り込み済みと考えられる。高配当利回りや1倍割れの低PBRも支援材料であり、上値を試す展開を期待したい。2月10日の終値は564円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円19銭で算出)は約258倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1105円64銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約26億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る