神鋼商事が脱炭素バイオマス燃料「木質ブラックバークペレット(国産バーク材原料)」事業に参画

■石炭火力発電所で混焼、CO2削減に貢献、代替燃料としても可能性

 神鋼商事<8075>(東証プライム)は4月2日午前、熊谷組<1861>(東証プライム)と清本鉄工株式会社(宮崎県延岡市)が推進する、愛媛県西条市での脱炭素バイオマス燃料「木質ブラックバークペレット(国産バーク材原料、以下「BBP」)」製造・販売事業への新たな事業参画を発表した。

 BBPは、石炭代替燃料としての可能性を持つ脱炭素バイオマス燃料で、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となる。

■国産バーク材を原料とし、熱処理(半炭化)によって高付加価値化

<木質ブラックバークペレットの石炭代替燃料としての可能性>
 BBPは、国産バーク材(木の皮)を原料とし、熱処理(半炭化)によって高付加価値化されたバイオマス燃料。製材時に発生するバークは使い途が限定され、その多くは廃棄物とし処理されている。熊谷組と清本鉄工は、このバークを活用し木をあますことなく利用することにより、国内林業に新たな道を拓き、林業の活性化に繋がると考え、2021年にBBPを開発した。

 BBPは、石炭火力発電所において、大きな設備投資をすることなく石炭と混焼することが可能。BBPを石炭との混焼材として使用することにより、CO2排出量の削減に貢献することができる。2050年のカーボンニュートラル達成に向け、国内外でのBBPの利用が期待されている。

■量産工場を建設中、26年7月に完成予定、同年10月から量産開始

<BBP製造・販売事業への取組状況>
 熊谷組と清本鉄工は、2023年5月よりBBPの製造・販売事業を開始し、地域材を活用した持続可能な事業展開を目指して、共同出資会社「ローカルエナジーシステム株式会社」を設立した。開発したBBPは、脱炭素に取り組む石炭火力発電事業者等で試験燃焼を実施し、石炭との混焼について評価を得ることができている。そして、このたび、神鋼商事がBBP製造・販売事業に新たに事業参画した。

 神鋼商事は、石炭とバイオマス燃料(バーム椰子殻(PKS)、木質ペレット等)の両方の輸入販売を手掛けており、これらの販売・物流について一定の知見を有する。脱炭素の手段として半炭化バイオマス燃料に着目して調査・検討を進める中で、今回、熊谷組と清本鉄工と共同し、BBP製造・販売事業に取り組むこととした。

 神鋼商事の事業参画に先立ち、25年2月より、BBPの量産に向けて、愛媛県西条市でBBP 製造工場の建設工事に着手した。同工場は、26年7月に完成予定、26年10月からBBPの量産を開始する計画。同工場の敷地面積は約1万2000㎡で、年間約3万トンのBBPを製造する能力を持つ。

■地産地消型バイオマス事業として他地域でも展開、海外生産も構想

<BBP製造・販売事業の将来展望>
 BBPは、石炭火力発電の脱炭素化手段として、今後、需要が伸びることが期待される。国内においては、愛媛県西条市における本BBP製造・販売事業について、BBP量産を軌道に乗せ、半炭化技術・ノウハウを確立した後に、地産地消型バイオマス事業の1つとして、BBP製造・販売事業を四国以外の他地域で展開することを構想している。

 また、大口需要家からの石炭火力でのバイオマス燃料の混焼材需要は、今後更に高まるものと想定される。国内のバイオマス資源のみでこれらの需要に全て応じることは難しく、海外のバイオマス燃料を用いることは必須と考えている。

 本BBP製造・販売事業で得た半炭化技術・ノウハウをもって、アジア諸国で半炭化バイオマス燃料を製造し、輸入販売する事業構想についても検討している。既にベトナム産アカシアを原料にした半炭化バイオマス燃料を試験製造し、国内の発電事業者へ納入した実績があり、今後、量産化に向けた検討を行う。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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