【どう見るこの相場】徹底分析:トランプ関税「一時停止」の裏側と今後の相場を読む

■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠

 まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次に「トランプ・ディール(取引)」の手練手管ではないかと身構えさせられた。トランプ大統領が、相互関税の対象品目からスマートフォン、パソコン、半導体製造装置などを除外することを明らかにしたのである。フェイクニュースでないなら、4月9日にトランプ大統領が発表した相互関税発動の90日間の一時停止に次ぐグッドニュースになるからなおさらだ。とにかく日米のマーケットは、「トランプ関税」にやられっ放しだった。相互関税の発動以来、日々どころか前場、後場でも1000円、2000円、1000ドル、2000ドルと上下に乱高下する超高速エレベーター相場を強いられた。週明けの東京市場は、今回の対象品目除外のグッドニュースに反応してアップル関連のハイテク株などをリード役に買いが買いを呼ぶ超高速エレベーター相場でスタートすることはほぼ確かなようではある。

 しかしである。世界同時株安の引き金となった「トランプ関税」が、これで一件落着になるとは考えにくい。これまで「トランプ・ディール」はやりたい放題で、相互関税の対象国やマーケットを揺さぶり翻弄してきた。そのちゃぶ台返しは、まるで大仕手そのもので、売りを誘って締め上げ、担ぎ上げておいてハシゴを外すなどしたたかで、一部からインサイダー取引疑惑の目さえも向けられた。急かされたマーケットは、超高速エレベーター相場を繰り返すほかなく、上りエレベーターと下りエレベーターを乗り間違えた投資家は、買いでヤラレ、売りでヤラレと散々で、資金が焦げ付き、枯渇し兼ねない消耗戦を強いられた。それを思い起こせば、「トランプ関税」にはなお二の矢、三の矢どころか、二十の矢、三十の矢もあると油断しないに越したことはない。第一、追加関税の実施が90日間停止したあとどう決着するかは、なおトランプ大統領の鼻息、胸の内次第になるのである。

■大相場は終わらない!ストップ高・年初来高値更新銘柄が示す新たな潮流

 もちろん超高速エレベーター相場でも、個々の銘柄レベルでは逆行高する銘柄、逆行安する銘柄はあった。このうち逆行高する銘柄は、少数派だが、それでも「トランプ関税」の圏外に位置し、むしろ「関税不況」への経済対策・金融政策の追い風を受けそうな環境下にあった。14日の週明けは、ハイテク株や輸出関連株が、「リターン・リバーサル」の順張りでスタートし、この少数派銘柄は乗り換えの反動を受けるとも想定されるが、なお続きそうなエレベーター相場でも、ここは初志貫徹よろしく少し腰を落とす押し目買いも一考余地があることになる。

 そこで注目したいのは、前週末10日と11日に続けてストップ高、年初来高値を更新した銘柄である。10日は、トランプ大統領が、相互関税の発動を90日間停止したことで日経平均株価は、2894円高と過去2番目の上昇幅となり、東証プライム市場では99%の銘柄が上昇する全面高となり、ストプ高銘柄は全市場で24銘柄、年初来高値を更新した銘柄は同じく76銘柄を数えた。11日は、米国の制裁関税と中国の報復関税の突っ張り合いによる米中貿易戦争のエスカレート懸念で日経平均株価は、1203円安と急反落した。それでもストップ高銘柄は9銘柄、年初来高値更新銘柄も88銘柄と健闘し打たれ強さも示唆した。

■連続年初来高値更新40銘柄が示す! 次の投資テーマはコレだ!

 このうち10日に続き11日も年初来高値を連続更新した銘柄は40銘柄あり、株高持続力を窺わせた。この40銘柄を精査すると、株高持続力をアシストする期待材料を内包する関連銘柄群が浮上した。一つは、公示地価の上昇や日本銀行の政策金利引き上げの先送りでビジネスチャンスが拡大する不動産流動化銘柄で、もう一つは、円高と石破内閣を含めて与野党こぞっての大合唱となっている現金給付や減税、補正予算編成などの恩恵を受ける消費関連株である。今週の当コラムでは、この2セクター銘柄に焦点を当てることにした。低PER・PBR、高配当のバリュー株も少なくない。超高速エレベーターの上りエレベーター、下りエレベーターに目をつむって飛び乗る急ぎ商いとは別線で、穏やかな上り下りを目で確認できるエスカレーター相場に乗って1階ずつ上階を目指す展開を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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