【どう見るこの相場】決算発表が選別投資を加速、好材料「ダブル・フルセット」銘柄に注目集まる

■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける

 前週31日の植田和男日銀総裁の記者会見での発言は、聞きようによっては株式マーケットの足元の状況を見事に示唆しているとも受け取れないこともなかった。曰く「不確実性はやや低下した」、曰く「一気に霧が晴れるということはなかなかない」などなどである。発言自体は、同日まで開催した金融政策決定会合で政策金利を据え置き現状維持を決めたややハト派的な金融政策スタンスの背景説明をしたものである。しかし文字起こししてみれば、ストラテジストのマーケットコメントとして聞いても何ら違和感はない。強気、弱気のいずれをも決め兼ねて常に買い遅れる一部の「TACO(いつも尻込みする)投資家」の投資マインドを代弁しているようでもある。

 マーケット全般は、すでに大揺れに揺れた選挙イベントもトランプ関税イベントも、今回の日米の中央銀行イベントも通過し、新たな決算発表イベントを迎え、好不調銘柄の選り分けの真っ最中である。しかし「TACO投資家」は、「相場は相場に聞け」の相場格言通りに個別銘柄の特異的な値動きが頭から離れない。例えば選挙イベント関連のムサシ<7521>(東証スタンダード)である。7月20日投開票の参議院議員選挙後は小幅反応にとどまっていたのが、上げ幅を拡大して前週末1日は連日で年初来高値を更新した。1日に召集の臨時国会に次いで、8月8日には自民党の両院議員総会開催が控え、石破茂首相の退陣、総裁選挙、あるいは野党の結束次第では政権交代の可能性もある「政局相場2.0」を懸念して逆行高しているのかもしれないではないか。

■市場の霧は晴れず、主力株の業績下方修正と米国市場の動揺が影を落とす

 また参議院選挙の争点となった物価高問題に関連したコメ価格高騰のシンボル株の木徳神糧<2700>(東証スタンダード)も、今年6月末に株式分割の権利を落とし、分割落ち後安値1929円まで調整し、「御用米相場」は一件落着を思われていた。ところが同安値から約500円高し、分割権利落ちの理論価格までリバウンドした。日銀は、今回公表した「展望レポート」で2025年度の物価見通しを上方修正しており、一筋縄ではいかない物価高問題を前にいつ何時、植田総裁が、ハト派からタカ派に変身するかもしれないことを先取りしていると先読みできないこともない。

 今週8日をピークにラッシュとなる決算発表イベントでも、あろうことか主力株中の主力株の東京エレクトロン<8035>(東証プライム)が、業績を下方修正し合わせて減配も発表してストップ安するなどつまずいた。業績相場が逆業績相場になるとも懸念させる。しかもその後の前週末1日の米国市場でも、7月の雇用統計の失速でダウ工業株30種平均(NYダウ)が、542ドル安と大幅続落してしまった。決算発表イベントだからといって好業績銘柄への無差別な飛び付き買いは、リスク大と「TACO投資家」が、買いよりも売りから入るか気迷いますます尻込みするのは当然だろう。

■「保険付き銘柄」が市場の救世主に、キヤノンの株主還元策が示す投資妙味

 ではどうするか?リスクを軽減しつつ買い出動するとしたら、保険付き銘柄が浮上することになる。この保険付き銘柄の代表は、キヤノン<7751>(東証プライム)となる。同社の株価は、今年7月24日に今2025年12月期業績の下方修正を発表して221円安と急落し、29日には取得総額1000億円となる今期3回目の自己株式取得を発表し、前週末1日の高値まで363円高と急騰し株価フォローに万全を期した。

 キヤノンは業績下方修正のフォローであるが、前週週明けから本格化した決算発表では、見渡せば業績の上方修正ばかりか増配、自己株式取得、株式分割などのポジティブ材料を重複開示したダブルセット銘柄、フルセット銘柄も目立っており、このうち投資採算的にも割安な銘柄が、保険付き銘柄となるはずである。自己株式取得は、まだ今年5月の3月期決算会社の本決算発表時ほどにラッシュになってはいないが、今週8日のピークに向けての推移をウオッチしつつ「TACO投資家」の参戦も一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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