【どう見るこの相場】TOPIX最高値更新、日経平均も史上高値迫る、強気相場の行方に注目

■上方修正・下方修正問わず買い集まる異例の展開

 3連休入りした9日の成田空港では、夏休みを海外で過ごす旅行客の出国ラッシュが、ピークを迎えたと報道された。しかし夏休みを楽しんでいる場合なのか?東京市場は、ビッグチャンス、ビッグウエーブに沸き立っているのである。東証株価指数(TOPIX)は連日、史上最高値を更新し、日経平均株価も、あと600円上げれば史上最高値に肩を並べる。兎に角、怖いものなしである。折から前週末8日にピークを越えた決算発表でも、序盤は業績上方修正銘柄が売られ、下方修正銘柄が買われるなどチグハグな動きも散見されたが、前週央以降は上方修正銘柄、下方修正銘柄とも買われ、ストップ高したり年初来高値を更新した銘柄が続出したからだ。ただ東京市場が休場となった前日11日の米国市場では、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が、200ドル安と反落しており、ここは「短気は損気」の人生訓にならって、「強気は損気」か「弱気は損気」か試してみる価値はありそうだ。

■テンプルトン理論で見る現在地は「陶酔」局面か

 強気と弱気のいずれが正解なのか?この参考にしたいのが、米国の著名投資家のジョン・テンプルトンが残した強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観のなかで成熟し、陶酔とともに消える」との名言である。足元のマーケットが、この名言の4つの上昇ステージのどこに位置しているのかに大いに関係しそうである。というのも、世界のマーケットは、今年4月の米国のトランプ大統領の相互関税発動以来、4つのステージのなかの「悲観」のなかでもがき続け、それが気が付けば、足元では懐疑も楽観もすっ飛ばして陶酔ステージに急浮上した印象も拭えないのである。強気相場が、このまま長期化するのか、意外と短期で終わるのか不透明なことこの上ない。

■ジャクソンホール会議と金融政策会合が次の焦点

 さらに次のフシ目として、世界各国の中央銀行総裁などが集う8月21日~23日開催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」や、あるいは9月16日から19日まで相次いで開催されるFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)や日本銀行の金融政策決定会合も控えている。強気相場はまだ続くとしても、3連休前8日にピークを越えた決算発表は、先細りとなり手掛かり材料難となることも想定される。これは、業績上方修正・下方修正銘柄をとも無差別買いするブル相場から、より業績動向を厳しく選別物色する方向にトレンド転換することも示唆する。

■投資採算上割安な銘柄に夏休み明け相場の注目集まる

 ということで、今週の当コラムでは、前週に続き決算発表で業績上方修正とともに増配、自己株式取得、株式分割などを合わせて発表したダブルセット・フルセット銘柄を取り上げることにした。多くの銘柄は、このセット材料発表とともにストップ高したり年初来高値を更新したが、夏休み明け後に仮に相場全般に反省ムードが強まるとしたら、それでも盆休み明け後も株価が、粘り腰を発揮してくれるのは、このうちなお投資採算的に割安水準にある銘柄のはずである。

 決算発表が本格スタートした7月28日から前週末8日までの2週間の間に、手集計ではフルセット銘柄は7銘柄、ダブルセット銘柄は44銘柄を数えた。バリュー株に絞って夏休み明けの次の「懐疑」ステージ、次の次の「楽観」ステージに期待するのも一法となりそうである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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