
■医師の負担軽減と地域医療の質向上をめざす共同研究
日本の医療現場では医師不足と地域偏在が深刻化しており、特に新潟県は全国でも3番目に医師数が少ない地域である。これにより、医療サービスの質低下や医師の過重労働が課題となっている。また、診療記録や診断書などの医療文書作成に多くの時間が割かれており、医師の業務負担の一因となっている。こうした状況を踏まえ、NTT東日本と新潟大学は5月26日、NTT(日本電信電話)<9432>(東証プライム)が開発した高性能な国産大規模言語モデル「tsuzumi」を用いた医療文書作成支援AIモデルの共同研究を開始すると発表。目的は、業務効率化と医療サービスの質向上である。
実証期間は2025年5月26日から2026年3月31日まで。新潟大学と同大学医歯学総合病院をフィールドとし、診察現場で得られたデータを元に、tsuzumiによって各種医療文書のドラフトを自動生成する。これにより医師の事務負担を軽減することをめざす。患者情報の活用に際しては、事前にインフォームド・コンセントを取得するなど倫理面にも配慮がなされている。今後は、得られた検証結果をもとにモデルの精度向上と実用化が進められる見通しである。
NTT東日本は、tsuzumiの提供・開発、ならびにデータ解析やモデル設計を担う。一方、新潟大学は医療現場に即した知見やデータ提供、実証現場におけるシステム検証と改善提案を行う。今後は本実証を通じて、医療現場の業務改革や医師の働き方改革への貢献をめざすとともに、社会的課題の解決に資するAI活用の展望が期待されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)