【どう見るこの株】リネットジャパングループ、リチウムイオン電池回収強化で株価急伸、環境省要請も追い風

どう見るこの株

■黒字転換予想に加え、高利益進捗率で投資家の期待高まる

 リネットジャパングループ<3556>(東証グロース)は、前日9日に45円高の574円と5営業日続伸して引け、連日の年初来高値更新となった。東証グロース市場の値上り率ランキングの第21位と賑わった。環境省が、地方自治体に火災防止のためにリチウムイオン電池の分別回収を強化することを要請したことをキッカケに全国732の地方自治体とパソコンの家電リサイクル協定を結んでいる同社株にビジネスチャンス拡大を期待する関連株買いが増勢となった。今2025年9月期業績も、黒字転換が予想され、足元の今期第2四半期(2024年10月~2025年3月期、2Q)累計業績が、この9月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示したこともフォローの材料視されている。

■家電リサイクル協定を732の自治体と締結し人口カバー率は71%

 環境省は、使用済みのリチウムイオン電池による火災事故、爆発事後が多発していることから、この防止に向けて地方自治体に回収所を設置し、分別回収を強化することを要請した。リネットJは、2024年9月以降に旭川市、富士市、伊丹市など25自治体とパソコンなどの家電リサイクル協定を締結しており、協定自治体は732自治体、人口カバー率は8948万人、71.6%に達している。このほか大型家電の宅配便回収協定でも156自治体と協定を結んでおり、今回の環境省の自治体向け要請が、同社のリサイクル事業の追い風になることが期待されている。

 一方、同社の今2025年9月期業績は、売り上げ100億円(前期比14.4%減)、営業利益3億円(前期は12億6300万円の赤字)、経常利益2億5000万円(同11億8400万円の赤字)、純利益2億円(同18億8200万円の赤字)と黒字転換が予想されている。前期業績を押し下げたカンボジア子会社による不適正な融資取引を約12億円の特別損失計上で処理し、リユース・リサイクル事業では、書籍からゲーム・ホビー・家電・ファッションなどの成長市場にシフトし、小型家電リサイクル事業では、各家庭に3000万台規模で眠る退蔵パソコンを対象に都市鉱山の掘り起こしを進めることが要因となる。今年5月15日に発表した今期2Q業績は、売り上げ52億2100万円(前年同期比10.2%減)、営業利益1億900万円(前年同期は7億1500万円の赤字)、経常利益2億5000万円(同6億5800万円の赤字)、純利益1億5100万円(同9億5400万円の赤字)と黒字転換して着地し9月通期予想業績に対して高利益進捗率を示した。

■ボリュームゾーンの500円台下位を一気に上抜き1年半ぶりの700円台復帰も有望

 株価は、今年4月のトランプ関税による世界同時株安時に年初来安値210円に突っ込んだが、その後の相次ぐ地方自治体との協定締結で売られ過ぎ修正に動き、今期2Qの好決算と環境省のリチウムイオン電池回収要請で上値追いに拍車をかけ年初来高値を更新中である。出来高も連日、40万株超の大商いが続き価格帯別売買高でこの5年間のボリュームゾーンとなっていた500円~530円を一気に上抜いてきただけに、600円台乗せから2023年12月以来、1年半ぶりの700円台復帰も期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部・インベストメントナビゲーター)

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