【マーケットセンサー】日経平均一時4万円回復も上値警戒感、政治リスクが相場の重石に

■石破続投か退陣か?与党内『下ろし』加速で分断深刻化

 自由民主党と公明党による連立与党は、7月20日の参議院議員選挙で改選過半数を割り込み、参議院でも少数与党に転落した。石破茂首相は記者会見で、比較第一党(過半数に届かなく、議席数ではトップの政党)を確保したことを根拠に政権継続の意向を表明したが、昨年の衆院選、都議選、今回の参院選と3連敗を喫しており、党内外からは続投に対する批判が高まっている。求心力を失いつつある首相に対し、自民党の甘利明元幹事長や立憲民主党の江田憲司衆院議員らが相次いで辞任を求める発言を行った。

 政権の正統性を問う声が強まる中、与党内では「石破下ろし」の動きが加速する可能性もある。一方で、比較第一党としての責任を盾に政権維持を主張する首相の姿勢は、かえって党内の分断を深めている。野党側も態勢を整えつつあり、今後の政局は大連立の模索や内閣不信任案の提出など、多様な展開を含む不透明な情勢となっている。

■株式市場は織り込み済みも、政治リスクが相場の重石

 株式市場では、選挙結果が事前予測通りであったことから一定の安心感が広がり、買い戻しが先行した。日経平均は取引開始直後に456円高の4万275円まで上昇し、一時4万円台を回復した。その後は4万円を割り込み、上値の重い展開が続いている。石破首相の続投表明により政局の不透明感が強まり、上値を抑える要因となっている。米国株が高値圏を維持するなか、日本市場では政治リスクが相場の重石として意識されている。

 今後の焦点は与党内の動向に加え、野党の出方にも及ぶ。政権運営の行方が不透明な中で、市場関係者は政策の継続性と経済運営への影響を慎重に見極めようとしている。政局の流動化は、今後の株式相場における不安定要因としてしばらく注目されそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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