
■STARアーキテクチャ採用し実用アルゴリズムの実行を目指す
富士通<6702>(東証プライム)は8月1日、2030年度の構築完了を目標に、1万物理量子ビット超の超伝導量子コンピュータの研究開発を開始すると発表した。今回の取り組みは、NEDOが公募した「量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速」に採択されたことを受けたものであり、同社は産業技術総合研究所および理化学研究所と連携し、2027年度までに複数の大規模化技術の開発を進める。論理量子ビット250の動作を目指すほか、early-FTQC向け「STARアーキテクチャ」の実用化にも挑む。
同社はこれまでも理研との連携で最大256量子ビットの超伝導量子コンピュータを開発しており、2026年度には1,000量子ビットの実現を予定している。今回の事業では、ジョセフソン接合の高精度化やチップ間の接続技術、低コストな制御技術、量子エラー訂正のためのデコーディング技術といった、4つの柱による技術開発に取り組む。さらに、ダイヤモンドスピン方式による光接続の研究も進めており、デルフト工科大学および同大学のQuTechと連携して量子ビットの形成に成功している。
今後は同事業で得た成果を活用し、パートナー企業との協業を通じて超伝導量子コンピュータの構築を加速させる方針である。2030年度以降には、超伝導方式とダイヤモンドスピン方式の接続や、遠隔接続を可能にするリモート技術の開発も進め、最終的には1,000論理量子ビットの実現を視野に入れる。同社は量子コンピュータの実用化と産業化を見据え、量子とクラシカル計算を融合させたハイブリッドシステムの構築も進めていく。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)