【M&A活発化】大企業の24.1%が買収検討、仲介業者からの接触は8割超

■人手不足や事業承継問題が背景、中小企業の売却意向も5.2%

 東京商工リサーチ(TSR)は10月28日、企業のM&Aに関するアンケート結果を発表した。調査は10月1~8日に実施し、6347社から回答を得た。大企業の24.1%が他社の買収を検討しており、中小企業の13.7%を大きく上回った。一方で、自社の売却を検討している中小企業は5.2%に達し、事業承継問題の深刻化が浮き彫りとなった。

■買収意欲は大企業に集中、運輸.建設.卸売業が上位

 買収を検討する企業は全体で14.4%だった。業種別では、運輸業が21.5%で最多となり、建設業(21.2%)、卸売業(20.5%)が続いた。人手不足や2024年問題、後継者不在が要因とみられる。特に大企業が積極姿勢を強めており、事業拡大や技術獲得を目的とした動きが顕著となっている。

■中小企業では「後継者不在」が6割超、事業継続に懸念

 自社売却を検討する企業は4.8%にとどまったが、中小企業に限ると5.2%と高く、「経営や事業部門の後継者がいない」が63.7%で最多となった。不採算事業の整理(23.3%)や経営者の個人的理由(20.4%)なども挙がり、後継者難と人手不足が深刻化している。

■仲介業者からの接触は8割超、営業過熱とトラブル懸念

 M&A仲介業者からアプローチを受けた企業は82.6%に達した。中小企業が83.0%で、大企業(77.7%)を上回る。中小企業を中心に売却を前提とした営業活動が活発化しているが、利益相反や不透明な手数料など、仲介を巡るトラブルも増加傾向にある。

■制度整備へ、中小企業庁がアドバイザー資格創設を検討

 中小企業庁は2026年度にもM&Aアドバイザー資格制度の創設を予定している。目的は市場の健全化と信頼性の確保である。M&Aは事業基盤や雇用維持、地域経済の再生につながる一方で、悪質業者の排除と情報格差の是正が急務となる。今後は大企業と中小企業の適切なマッチングと倫理的運用が市場成長の鍵を握る。(情報提供:日本インタビュ新聞社.株式投資情報編集部)

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