
■離職率低下と顧客満足向上を実証、省人化潮流に逆行する人材重視戦略
「丸亀製麺」主力のトリドールホールディングス<3397>(東証プライム)は9月17日、従業員の幸福と顧客の感動を資本とみなし、相互の循環によって持続的成長を実現する独自の経営思想「心的資本経営」を始動すると発表した。飲食業界では労働人口減少や人材獲得競争の激化に伴い省人化が進むが、同社は創業以来の価値観に基づき人の可能性を最大限に引き出す方針を強調した。主力の丸亀製麺では「手づくり・できたて」のうどんと温かい接客を通じ、人の力が唯一無二の感動を生む源泉であるとの姿勢を示している。
■従来の店長制度を刷新し報酬体系も最大年収2,000万円の成果連動型へ
同社は昨年から社内浸透を進め、従業員の離職率が約12.9%低下、顧客からのお褒めの言葉が24.5%増加するなど効果が表れている。これを裏付ける実践モデルが「ハピカン繁盛サイクル」であり、従業員の幸福感が内発的動機を育み、顧客体験の感動につながり、さらに成果を従業員へ還元することで再び幸福感を高めるという循環を形成する。これを具現化するため、従来の店長制度を刷新し「ハピカンオフィサー制度」を導入、報酬体系も最大年収2,000万円の成果連動型へと見直す。丸亀製麺では「ハピカンキャプテン」として2025年11月から導入し、2028年までに300名を育成する計画である。
■国内初!音声対話型AIを活用した独自指標「ハピネススコア」導入
さらに、従業員の家族を対象に無償で食事を提供する「家族食堂制度」を導入し、家庭とのつながりを支援する。また、国内初の取り組みとして音声対話型AIを活用した「ハピネススコア」を導入し、従業員と顧客双方の心の状態を可視化して業績との相関を分析する。初期分析では幸福度が高い店舗ほど顧客感動スコアも高く、業績向上につながる傾向が確認されている。同社は「心的資本経営」をグループ全体に展開し、持続的な成長と唯一無二の感動創造を追求していく方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)