【企業の転勤アンケート】大企業の38%が「転勤退職」を経験、制度改善は1割強にとどまる

■転勤めぐる従業員退職が課題に、大企業の38%が経験、制度見直し急務

 東京商工リサーチは8月28日、企業の転勤に関するアンケート調査の結果を発表した。直近3年間で、転勤や配置転換などを理由に従業員が退職した経験を持つ企業は全体の30.1%に達し、大企業に限ると38.0%に上ることが明らかになった。従業員の退職リスクは企業の事業展開の足かせとなりかねず、柔軟な転勤制度の導入が急務だが、実際にこうした制度を導入している企業は全体の約1割にとどまるなど、対策はまだ道半ばであることが浮き彫りとなった。

 今回の調査は、7月30日から8月6日にかけてインターネットで実施され、有効回答は6,691社だった。転勤や配置転換、グループ会社への転籍の実績がある企業は全体の36.2%で、大企業では75.6%と中小企業(32.3%)の2倍以上となり、規模による差が大きい実態が明らかとなった。産業別では、金融・保険業が最も高く60.0%、次いで運輸業が52.6%、卸売業が42.1%と続く。転勤を理由とした退職者の経験については、大企業が38.0%だったのに対し、中小企業は28.3%だった。

■共働きや育児・介護が背景に、従業員の負担増加で転職が選択肢に

 退職の背景には、共働き世帯の増加や育児、介護といった従業員の生活負担が挙げられる。加えて、転職市場が拡大し、終身雇用の意識が薄れる中で、転勤による負担を避けるために転職を選択するケースが増加している。転勤制度は、従業員の維持・確保における採用時のネックにもなりつつあり、企業は改めてそのあり方を検討する必要に迫られている。

 このような状況にもかかわらず、従業員が転勤の可否を選択できる制度や、転勤手当、エリア社員制度といった柔軟な転勤制度を導入している企業は、全体の14.6%に過ぎない。大企業では31.1%と相対的に高いものの、約3割にとどまっている。また、今後も柔軟な転勤制度の導入を予定していない企業は全体の75.9%に達しており、働き手の意識変化に対応した企業の制度改革は遅れている現状が露呈した。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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