武田薬品、オレキシン作動薬「Oveporexton」臨床第3相試験で有効性を確認

■日中過度の眠気や情動脱力発作で有意な改善、QOL向上も確認

 武田薬品工業<4502>(東証プライム)は9月8日、シンガポールで開催された「世界睡眠学会2025(World Sleep Congress 2025)」において、オレキシン2受容体作動薬「Oveporexton(TAK-861)」の臨床第3相試験結果を発表した。同薬はナルコレプシータイプ1(NT1)患者を対象に開発されており、グローバル規模で実施されたプラセボ対照無作為化試験において、日中過度の眠気(EDS)、情動脱力発作(カタプレキシー)、夜間睡眠分断など多様な症状に有意な改善効果を示した。19か国で計273人が参加した2件の主要試験では、MWT(覚醒維持検査)やESS(エプワース眠気尺度)などの客観的・主観的評価項目において統計学的に有意な改善が確認された。

 武田薬品によれば、OveporextonはNT1の根本原因であるオレキシン欠乏を標的に設計された革新的治療薬であり、従来治療で対応が難しかった幅広い症状の改善を実現する可能性がある。特に、2mgを1日2回投与する群では6割以上の患者が正常範囲内の覚醒度を達成し、約85%が日中の眠気スコア(ESS10以下)を示したとされる。また、臨床第2b相から継続中の長期投与試験においても有効性が維持され、生活の質(QOL)や日常機能の改善も確認された。忍容性や安全性についても概ね良好で、副作用の発現は限定的にとどまったという。

 同社は2025年度中に米国およびグローバルでの申請を開始する計画を進めており、順調に進捗していると説明した。ピーク時のグローバル売上高は20~30億米ドル以上を見込んでいるが、これは技術的・規制上の成功確率を調整していない推定値である点に留意が必要と強調した。武田薬品は「オレキシンサイエンスの先駆者」としてOveporextonを軸に新たな治療標準を築き、NT1患者の治療に新時代を切り開く可能性を示した。なお、同発表は投資家や株主への情報提供を目的とするものであり、医薬品の販売勧誘を意図するものではない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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