JVCケンウッド、振動を電力化する環境発電の実証に成功、橋梁振動で数十V発電

■スピーカー原理を応用、老朽化インフラ対応の省人化を後押し

 JVCケンウッド<6632>(東証プライム)・公共産業システムは9月25日、京都大学橋梁工学研究室および建設技術研究所と共同で、スピーカーの原理を応用して振動を電気エネルギーに変換する環境発電(エネルギーハーベスト)の実証実験に成功したと発表した。自動車が橋梁を通過した際の振動を利用し、従来技術では困難とされていた低周波領域で数十Vの電圧を得ることが確認された。今後は電磁自立型センサーの開発を進め、インフラ維持管理の効率化やコスト削減に資する技術としての実用化を目指す。

 日本の社会インフラは高度経済成長期に整備された設備が多く、老朽化が進行する一方、自治体は財政や技術職員の不足で対応が難しい状況にある。センサーによる状態モニタリングが注目されているが、電源確保や配線工事、電池交換が課題である。このため近年、外部電源を必要としない環境発電技術が解決策として期待されている。JVCケンウッドは2024年4月から京都大学と研究を開始し、2025年1月には建設技術研究所が参画、3者共同で橋梁に適した低周波振動による発電技術を開発してきた。

 同社は今後、発電量の向上や蓄電・通信技術との組み合わせを進め、配線工事や電池交換を不要にするエネルギーハーベスト機能付きセンサーを実用化する考えだ。将来的には橋梁だけでなく、斜面や老朽化構造物の診断にも応用し、予防保全や劣化予測に役立てる方針である。また、この成果は10月28日・29日に東京で開催される「JVCケンウッド・公共産業システム ソリューションフェア2025」で一部紹介される予定だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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