シンバイオ製薬、欧州でIV BCVの国際共同第Ⅲ相試験を開始、世界初の抗アデノウイルス薬開発へ

ビジネス 万年筆 メモ

■ドイツ・フランス・イタリアで治験計画承認、欧州先行での承認申請を目指す

 シンバイオ製薬<4582>(東証グロース)は10月6日8時50分、注射剤ブリンシドフォビル(IV BCV)を用いた造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を開始すると発表した。これは欧州連合(EU)の主要3カ国(ドイツ・フランス・イタリア)において治験実施計画が承認されたことを受けたもので、今後は他のEU加盟国でも承認取得後に試験を順次展開する。対象疾患は現在有効な治療法が存在せず、致死率も高いことから、同社は欧米日英の80施設で180症例を登録し、2028年下半期の欧州での承認申請を目指す。また、日本、米国、英国でも試験開始に向けた手続きを進行中である。

 同試験は、米国で実施された第Ⅱ相臨床試験においてPOC(Proof of Concept)を達成した結果を踏まえており、世界初となる抗ウイルス剤による治療薬の開発として注目される。とりわけ小児患者に多く発症し、命に関わる深刻な疾患であることから、同社の吉田文紀社長は「一日も早くIV BCVを提供できるよう、迅速に開発を進める」と強調している。なお、同件が2025年12月期の業績に与える影響は現時点で見込まれていない。

 シンバイオ製薬は、2019年にBCVのグローバルライセンスを取得後、3つの治療領域――(1)移植後ウイルス感染症、(2)血液がん・固形がん、(3)脳神経変性疾患――に経営資源を集中し、事業価値の最大化を図ってきた。今回の第Ⅲ相試験は、その第1の柱にあたるものであり、第2の柱に位置づけられるNK/T細胞リンパ腫についても現在第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験が進行中で、2028年中の承認申請を計画中である。さらに、脳腫瘍・頭頸部がん、ならびに多発性硬化症や進行性多巣性白質脳症などの神経疾患領域においても、治験開始に向けた準備が進んでいる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■山口県周南市で始動、燃料電池の定置型電源活用で脱炭素電力供給を検証  ホンダ<7267>(東証プ…
  2. ■LINEリサーチ発表、上半期トレンド総括と最新6月期の動向  LINEヤフー<4689>(東証プ…
  3. ■休廃業・解散は減少も淘汰続く、新興市場の課題鮮明に  東京商工リサーチは7月31日、国内ドローン…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■自民党人事でハト派ムード先行、逆張りで妙味狙う投資戦略も  今週の当コラムは、ハト派総裁とタカ派…
  2. ■総裁選関連株が再び脚光、政権交代期待が市場を刺激  今週の最注目銘柄は、さいか屋<8254>(東…
  3. ■金先物関連株、最高値更新で安全資産需要が強まる  日本取引所グループ<8697>は9月24日、今…
  4. ■石破首相辞任表明後も市場は急落回避、投資家の買い意欲継続  「一寸先」は、不確実で予測が難しい。…
  5. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  6. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る