農業総研、国産りんごの平均単価が前年比17%上昇、一昨年比37%高で堅調推移

■猛暑や資材高騰の逆風下でも生産順調、価格・出荷量とも拡大傾向

 農業総合研究所<3541>(東証グロース)は10月22日、2025年の国産りんご市場に関する調査結果を発表した。同社が全国約2,000店舗のスーパーマーケットで展開する「農家の直売所」などの販売データを基に分析したもので、国産りんごの平均単価は2023年の387円から2025年9月末時点で531円へと上昇した。前年比約17%、一昨年比では約37%の上昇である。猛暑や資材価格高騰といった環境下でも安定した作柄を維持し、出荷数量・金額ともに増加傾向を示した。

■輸入りんごは1万トン突破、国産は地域ブランド力で差別化を強化

 一方、米国やニュージーランド産を中心とする輸入りんごは、2025年7月時点で初めて輸入量1万トンを突破し過去最高を記録した。通年で安定供給できる価格優位性から、低価格帯市場を支える存在として定着している。国産は秋冬中心、輸入は春夏中心という季節補完関係が形成され、年間を通じてりんごが流通する体制が整ってきた。しかし、こうした市場構造の変化は同時に競合拡大を意味しており、国産りんごには「なぜ選ばれるのか」を明確に示す価値訴求が求められている。

 福島県会津地方の「あいづ農園(かねだ)」や「かねだゆか農園」などは、品質と地域性を軸にブランド力を高める取り組みを進めている。首都圏マルシェへの定期出店を通じ、消費者との直接対話で信頼を築く姿勢が特徴だ。こうした活動はファン層の形成や加工品販売の拡大につながり、地域ブランド化の好例となっている。青森の「葉とらずりんご」や福島・郡山の「郡山ブランド野菜」にみられるように、国産りんご市場でも「産地を選ぶ理由」を伝える努力が重要なテーマとなりつつある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■地域と共に築いた「鮪解体ショー」で世界一の舞台へ  銚子丸<3075>(東証スタンダード)は、同…
  2. ■速乾・吸水機能を備えたブラ&ショーツ、11月7日から応援購入受付  グンゼ<3002>(東証プラ…
  3. 日産自動車 日産 NISSAN
    ■経営再建計画の一環として保有資産を最適化、20年間の賃貸借契約で本社機能維持  日産自動車<72…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  2. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  3. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  4. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…
  5. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  6. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る