日本エム・ディ・エム、米国供給制約と円安コスト増が影響、配当17円を維持し株主還元を継続

(決算速報)
 日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は10月30日に26年3月期第2四半期累計(以下、中間期)連結業績を発表した。減収減益だった。米国における人工膝関節製品の供給制約が影響したほか、米国相互関税影響による調達コストの上昇、労務費の増加による自社製造コスト上昇なども影響した。そして通期業績予想を下方修正した。人工膝関節製品の供給制約の影響が下期も継続するほか、円安に伴う日本での輸入仕入原価の悪化なども影響する見込みだ。なお26年3月期の配当予想は据え置いた。積極的な事業展開で27年3月期の収益回復を期待したい。株価は4月の年初来安値に接近して軟調だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、下値限定的だろう。

■26年3月期中間期減益、通期業績予想を下方修正

 26年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%減の116億10百万円、営業利益が68.9%減の2億08百万円、経常利益が80.4%減の1億30百万円、親会社株主帰属中間純利益が85.9%減の69百万円だった。

 減収減益だった。売上面では日本国内の人工関節分野が堅調に推移したものの、米国の人工膝関節分野において外部に製造委託している一部のコンポーネントの納期遅延が発生しているため製品供給制約が継続した。利益面は減収による売上総利益の減少に加え、米国相互関税影響による調達コストの上昇、労務費の増加による自社製造コスト上昇なども影響した。

 セグメント別(セグメント間取引・全社費用等調整前)に見ると、日本は売上高が0.3%増の63億62百万円で営業利益が33.3%減の1億70百万円、米国は売上高が5.5%増の77億37百万円で営業利益が82.7%減の63百万円だった。米国の外部顧客向け売上高は米ドルベースで0.4%減の35百万米ドル、円換算後で4.2%減の52億47百万円だった。米国売上の為替換算レートは1米ドル=146円58銭(前年同期は1米ドル=152円34銭)だった。

 医療機器類の品目別売上高(セグメント間取引相殺消去後、日本は販売促進費控除前、米国は円換算後)は、人工関節は日本が2.0%増の24億21百万円で米国が4.1%減の52億38百万円、骨接合材料(日本)は2.1%減の20億88百万円、脊椎固定器具(日本と米国の合計)は0.6%減の17億53百万円だった。自社製品売上比率は1.3ポイント低下して79.6%となった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が59億20百万円で営業利益が1億50百万円、第2四半期は売上高が56億90百万円で営業利益が58百万円だった。

 通期予想は下方修正(25年9月5日続いて2回目)して売上高が前期比1.3%減の248億円、営業利益が55.0%減の7億円、経常利益が63.1%減の5億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が3億円(前期は4億61百万円の損失)とした。

 前回予想(25年9月5日付の修正値、売上高254億50百万円、営業利益10億10百万円、経常利益9億円、親会社株主帰属当期純利益6億円)に対して、売上高を6億50百万円、営業利益を3億10百万円、経常利益を3億50百万円、親会社株主帰属当期純利益を3億円、それぞれ下方修正した。人工膝関節製品の供給制約の影響が下期も継続するほか、円安に伴う日本での輸入仕入原価の悪化、先行投資に伴う労務費の増加なども影響する見込みだ。下期の想定為替レートについては前回の1米ドル=148円から1米ドル=152円に見直した。

 なお配当予想は据え置いて前期比2円増配の17円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は149.4%となる。積極的な事業展開で27年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は4月の年初来安値に接近して軟調だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、下値限定的だろう。10月30日の終値は490円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円38銭で算出)は約43倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS937円15銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約130億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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