インフォマート、3Q累計大幅増益で通期利益予想を上方修正、ストック型収益で安定成長

(決算速報)
 インフォマート<2492>(東証プライム)は10月31日に25年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増収増益だった。新規利用企業増加や料金改定効果に加え、データセンター費用が減少して売上利益率が大幅に改善した。そして通期利益予想を上方修正した。修正後の通期利益予想に対する第3四半期累計の進捗率は高水準である。ストック収益が積み上がるビジネスモデルであることも勘案すれば、通期利益予想は再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は直近安値圏から切り返しの動きを強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。

■25年12月期通期利益予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

 25年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比22.8%増の138億03百万円、営業利益が3.6倍の24億07百万円、経常利益が3.6倍の23億96百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.8倍の15億01百万円だった。全社合計の利用企業数は10.8%増の122万5210社となった。

 大幅増収増益だった。新規利用企業増加や料金改定効果(BtoBプラットフォーム受発注は24年8月実施、BtoBプラットフォーム請求書は25年4月実施)に加え、サーバーのクラウド移行完了(24年9月)によってデータセンター費用が減少し、売上利益率が大幅に改善(15.2ポイント上昇して73.1%)した。営業利益17億36百万円増加の分析は、増収効果で25億59百万円増加(FOODが17億25百万円増加、ESが8億33百万円増加)、売上原価減少で10億25百万円増加(データセンター費が11億46百万円減少、ソフトウェア償却費が53百万円増加、手数料等が67百万円増加)、販管費増加で18億48百万円減少(人件費が7億03百万円増加、販売促進費が2億73百万円増加、支払手数料が2億38百万円増加、のれん償却費が4億13百万円増加、その他が2億18百万円増加)としている。

 BtoB-PF FOOD事業は売上高が24.5%増の87億71百万円で営業利益が110.7%増の22億17百万円だった。主力の受発注のほか、受発注ライトやTANOMUも利用企業数が増加し、受発注の価格改定効果も寄与した。売上高の内訳は受発注が29.4%増の65億14百万円、受発注ライト&TANOMUが29.5%増の8億25百万円、その他が4.2%増の14億31百万円だった。受発注の利用企業数は買い手企業が205社増の4258社(店舗数は4969社増の8万1328店舗)で、売り手企業が2080社増の4万7714社となった。なお売上総利益率は18.1ポイント上昇して78.3%となった。

 BtoB-PF ES事業は売上高が19.9%増の50億31百万円で営業利益が1億89百万円(前年同期は3億82百万円の損失)だった。大手企業とそのグループ企業を中心に請求書の新規利用が増加したほか、TRADEも順調に増加した。売上高の内訳は請求書が21.7%増の39億52百万円、TRADEが59.6%増の3億19百万円、その他が1.4%増の7億60百万円だった。請求書の利用企業数は11.9万社増の121.7万社、有料企業数(受取モデルと発行モデルの合計)は2340社増の1万5009社(受取モデルが1291社増の8732社、発行モデルが1049社増の6277社)となった。有料企業数は25年4月の基本料金改定により、受取モデルと発行モデルの両方が利用可能となった利用企業数が増加した。なお売上総利益率は10.1ポイント上昇して64.1%となった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が43億04百万円で営業利益が5億80百万円、第2四半期は売上高が46億96百万円で営業利益が8億40百万円、第3四半期は売上高が48億02百万円で営業利益が9億86百万円だった。

 通期の連結業績予想は売上高を小幅に下方修正、各利益を大幅に上方修正して、売上高が前期比20.4%増の188億23百万円、営業利益が134.0%増の28億09百万円、経常利益が135.0%増の27億90百万円、親会社株主帰属当期純利益が128.9%増の15億円とした。配当予想は据え置いて前期比2円72銭増配の4円46銭(第2四半期末2円23銭、期末2円23銭)としている。連続増配で予想配当性向は67.3%となる。

 前回予想(25年2月14日付の期初公表値、売上高194億91百万円、営業利益23億円、経常利益22億83百万円、親会社株主帰属当期純利益13億56百万円)に対して、売上高を6億68百万円下方修正したものの、営業利益を5億08百万円、経常利益を5億06百万円、親会社株主帰属当期純利益を1億43百万円それぞれ上方修正した。売上面はシステム使用料が期初計画を下回るが、各利益についてはBtoB-PF ES事業の請求書における変動費的な手数料の未発生により、売上総利益率が大幅に改善する見込みだ。

 修正後のセグメント別計画については、BtoB-PF FOOD事業の売上高が20.0%増の119億38百万円で営業利益が40.0%増の27億22百万円、BtoB-PF ES事業の売上高が21.2%増の68億85百万円で営業利益が86百万円(24年12月期は7億46百万円の損失)としている。売上総利益率の計画は全社ベースが10.8ポイント上昇の72.6%で、セグメント別にはBtoB-PF FOOD事業が12.2ポイント上昇の77.9%、BtoB-PF ES事業が8.6ポイント上昇の63.5%としている。

 修正後の通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が73%、営業利益が86%、経常利益が86%、親会社株主帰属当期純利益が100.1%で、利益進捗率が高水準ある。ストック収益が積み上がるビジネスモデルであることも勘案すれば、通期利益予想は再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は直近安値圏から切り返しの動き

 株価は直近安値圏から切り返しの動きを強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。10月31日の終値は328円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS6円63銭で算出)は約49倍、今期予想配当利回り(会社予想の4円46銭で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS48円23銭で算出)は約6.8倍、そして時価総額は約851億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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