花王、「Kirei肌AI」機能拡充、肌内部77項目を推定可能に

■専用機器不要で肌内部を推定、研究スピードが飛躍的に向上

 花王<4452>(東証プライム)は11月4日、顔画像から肌の特徴を高精度に推定する独自AI「Kirei肌AI」の機能を拡充したと発表した。従来は専用機器でしか把握できなかった肌内部の状態まで推定可能となり、評価項目は従来の約5倍となる77項目に拡大された。これにより、肌状態の確認試験や処方設計の精度が高まり、研究仮説の立案から検証までのサイクルが大幅に短縮され、化粧品開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している。

 今回の機能拡充では、従来の肌パッチ画像に加え、20~80代の男女293名から取得した顔画像を基に切り出した計7万389枚の部位別画像を新たに学習データとして導入し、水分量、コラーゲン密度、セラミド組成、シワやたるみなどを推定する25種類の機械学習モデルを構築した。これにより、顔画像1枚あたりの解析時間は10分以下となり、研究所では月平均730枚の解析が行われている。過去に取得した顔画像データも再解析が可能となり、メイク後の肌と水分量やハリの関係など、これまで見過ごされてきたデータの新たな価値も可視化されている。

 花王は今後も肌評価項目の拡張と推定精度の向上を継続する方針であり、肌トーンや特性の異なるグローバル市場への対応も進める。AIを基盤とした“データ駆動型”の化粧品開発を通じ、研究効率の向上とコスト削減を図るとともに、多様化する美意識や価値観に応える製品づくりを推進する構えである。今回の成果の一部は9月のIFSCCカンヌ大会で発表されており、業界内でも注目が高まっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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