川崎重工、水素航空機向け燃料タンクの液化水素充填試験に国内初成功

■NEDOプロジェクトで直径1.3mタンクの断熱性能と気密性を確認

 川崎重工業<7012>(東証プライム)は11月6日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発プロジェクト」で進める水素航空機向けコア技術開発において、国内で初めて水素航空機用燃料タンクへの液化水素充填試験に成功したと発表した。直径約1.3メートルの真空二重殻構造による軽量液化水素燃料タンク試作機を用い、秋田県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)能代ロケット実験場で実施したもので、極低温下でも高い断熱性能と気密性を保ったまま液化水素を安全に貯蔵できることを確認した。

 同試験は同事業の3つの開発項目のうち「液化水素燃料貯蔵タンク開発」に位置付けられる。川崎重工はすでに2024年、「水素航空機向けエンジン燃焼器・システム技術開発」で小型航空エンジンを用いた水素100%燃料による運転試験にも成功しており、残る「水素航空機機体構造検討」も順調に進んでいる。水素航空機の実用化に向け、軽量・高断熱タンク技術、エンジン燃焼、機体構造の統合的な技術確立を目指す。

 同事業は2021年から10年間を開発期間とし、2030年には統合システムによる地上実証試験で成立性と性能評価を行う予定である。川崎重工は水素航空機の技術確立のみならず、航空産業の脱炭素化や液化水素サプライチェーン商用化実証など水素事業全体を推進し、カーボンニュートルル社会の実現に貢献するとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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