神鋼商事、中間期減益も通期増益・増配を維持、機械セグメントが牽引、株価は割安感で上値試す展開へ

(決算速報)
 神鋼商事<8075>(東証プライム)は11月6日に26年3月期第2四半期累計(以下、中間期)連結業績を発表した。減収減益だった。機械系は増益だったが、素材系の数量減少・価格下落、北米のコスト増加などが影響した。ただし通期予想を据え置いた。鋼材価格下落や販管費増加などで営業減益だが、営業外収支改善により経常・最終増益で増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏だ。低PER、高配当利回り、低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■26年3月期中間期減益、通期経常・最終増益予想据え置き

 26年3月期中間期の連結業績は売上高が前年同期比4.5%減の2927億51百万円、営業利益が24.9%減の52億73百万円、経常利益が5.3%減の57億83百万円、そして親会社株主帰属中間純利益が10.8%減の40億73百万円だった。

 減収減益だった。機械系は増益だったが、素材系の数量減少・価格下落、北米のコスト増加などが影響した。営業外では受取配当金が6億76百万円増加(前期は8億92百万円、当期は15億68百万円)したほか、為替差損益が15億20百万円改善(前期は差損14億37百万円、当期は差益83百万円)、デリバティブ評価損益が9億99百万円悪化(前期は評価益6億67百万円、当期は評価損3億32百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が1億42百万円減少(前期は6億70百万円、当期は5億28百万円)したほか、前期計上の負ののれん発生益1億79百万円が剥落した。

 金属セグメントの鉄鋼ユニットは、自動車生産台数の減少や建築分野の需要減少、鋼材価格の下落などにより売上高が1.3%減収だったが、経常利益については金融収支の改善(受取配当金増加)により27.6%増の29億92百万円だった。アルミ・銅ユニットは、端子コネクターおよび空調向け銅製品の数量減少、自動車向けアルミ製品の減少、地金価格の下落などにより売上高が11.7%減収となり、経常利益は34.4%減の11億30百万円だった。原料ユニットは、重点分野である資源循環ビジネスの鉄スクラップの輸出取扱量が増加したが、粗鋼生産が低調だったため神戸製鋼所向け主原料の価格が下落したほか、バイオマス燃料が取引先発電所の操業トラブルの影響で減少したため、売上高が全体として9.1%減収となり、経常利益は前期計上した一過性利益の剥落も影響して92.8%減の82百万円となった。

 機械・溶接セグメントの機械ユニットは、国内では電池材料の数量の増加、冷熱・ヒートポンプ等の脱炭素関連機器の本体納入の増加、海外は中国での建機部品輸出、韓国での半導体ガス向け機器の増加などにより、売上高が14.4%増収となり、経常利益は増収効果で131.2%増の13億95百万円となった。溶接ユニットは、溶接材料の数量が国内外で減少したほか、溶接関連機材も減少したため、売上高が全体として6.0%減収となり、経常利益は23.9%減の2億69百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1476億77百万円、営業利益が22億24百万円、経常利益が29億38百万円、第2四半期は売上高が1450億74百万円、営業利益が30億49百万円、経常利益が28億45百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて売上高が前期比3.2%増の6370億円、営業利益が10.0%減の119億円、経常利益が2.0%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が7.4%増の92億円としている。配当予想は106円(第2四半期末53円、期末53円)としている。25年4月1日付の株式3分割を遡及換算すると、25年3月期の100円(第2四半期末50円、期末50円)に対して6円増配となる。予想配当性向は30.4%である。

 売上面はアルミ・銅ユニットの取扱量増加で増収だが、利益面は鋼材価格の下落、日系自動車生産台数の低迷、販管費の増加などで営業減益予想としている。ただし経常利益と親会社株主帰属当期純利益については営業外収支改善により増益予想、そして増配予想としている。なお想定為替レートは1米ドル=140円としている。米国関税政策の影響については、現時点では予測が困難なため今回の業績予想には織り込んでいない。

 ユニット別の経常利益計画は、金属本部小計が1億円増の90億円(鉄鋼が5億円減の51億円、アルミ・銅が5億円減の26億円、原料が11億円増の13億円)、機械・溶接小計が0億円増の30億円(機械が0億円増の23億円、溶接が0億円減の7億円)、その他が1億円増の0億円としている。

 鉄鋼は鋼材価格の下落や取扱量の減少等により減益、アルミ・銅は銅板・銅管やアルミ加工品が堅調だが中国の需要回復遅れ等により減益、原料はバイオマス燃料の取扱量増加や前期の一時的損失(貸倒引当金計上)の一巡等により増益、機械は圧縮機等の環境投資が次期にズレ込むが建機向けの緩やかな回復でカバーして横ばい、溶接は横ばいの計画としている。

 中間期の進捗率は売上高46%、営業利益49%、経常利益48%、親会社株主帰属当期純利益45%と概ね順調である。下期にかけて国内自動車生産台数の回復基調が見込まれるほか、販管費の抑制なども推進する。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は年初来高値圏

 株価(25年4月1日付で株式3分割)は年初来高値圏だ。低PER、高配当利回り、低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。11月6日の終値は2333円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS348円00銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の106円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3461円36銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約620億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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