アスカネット、26年4月期中間期大幅増益、通期大幅増益予想を据え置き、価格改定と効率化が奏功

(決算速報)
 アスカネット<2438>(東証グロース)は12月9日に26年4月期第2四半期累計(以下、中間期)連結業績を発表した。売上面は事業環境が厳しく各事業とも減収だったが、利益面は販売価格改定、固定費削減、生産効率向上などの取り組みの成果により大幅増益だった。そして通期の大幅増益予想を据え置いた。株価は安値圏で軟調だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■26年4月期26年4月期中間期大幅増益、通期も大幅増益予想

 26年4月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比2.5%減の33億17百万円、営業利益が97.8%増の31百万円、経常利益が166.6%増の51百万円、親会社株主帰属中間純利益が943.9%増の23百万円だった。全体として売上面は事業環境が厳しく各事業とも減収だったが、利益面は販売価格改定、固定費削減、生産効率向上などの取り組みの成果により大幅増益だった。

 セグメント別(内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は売上高が0.7%減の15億65百万円で営業利益が19.6%減の2億45百万円だった。減収減益だった。自社営業強化による葬儀社の新規契約獲得が順調に推移し、葬儀社向けDXサービス「tsunagoo」の手数料収入も着実に伸長したが、全国的な葬儀件数減少の影響で主力の遺影写真加工収入が減少したほか、クラウド利用料や各種ソフトウェア利用料の増加も影響した。

 写真集関連のフォトブック事業は売上高が1.8%減の17億07百万円で営業利益が20.8%増の2億31百万円だった。減収ながら大幅増益だった。売上面は厳しい事業環境が継続した。プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」は、ウェディング市場の挙式規模の縮小傾向や写真のデジタル化傾向の影響を受けた。一般消費者向け「マイブック」とOEMも海外旅行の回復遅れや撮影写真アウトプット減少の影響で厳しい事業環境だった。バーチャルビジネスの子会社BETは、米国市場のマーケティングを進めているが、ライバー獲得費用増加や男性ライバー事務所立ち上げ遅れなどで苦戦した。利益面は価格改定、固定費削減、生産効率向上などの取り組みの成果で大幅増益だった。

 空中結像プレートASKA3Dの空中ディスプレイ事業は売上高が44.7%減の49百万円で営業利益が1億45百万円の損失(前年同期は1億51百万円の損失)だった。減収だが営業損失は若干縮小した。営業体制強化や営業方針修正、BtoC向けパッケージ製品「浮空ライブステージHome」や「浮空ライブステージ匠・MAX」販売などを推進し、利益面では売上案件の採算性改善も寄与した。

 全社ベースの業績を四半期別にみると、第1四半期は売上高が16億46百万円で営業利益が17百万円の損失、第2四半期は売上高が16億71百万円で営業利益が48百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高が前期比4.4%増の75億80百万円、営業利益が150.5%増の4億35百万円、経常利益が151.4%増の4億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が2億61百万円(前期は2億63百万円の損失)としている。配当予想は前期と同額の7円(期末一括)としている。予想配当性向は42.2%となる。

 大幅増益・最終黒字予想としている。フューネラル事業が堅調に推移するほか、前期の一過性損失の一巡なども寄与する見込みだ。フォトブック事業と空中ディスプレイ事業については体制強化等により立て直しを図る。事業別売上高の計画はフューネラル事業が5.9%増の35億90百万円、フォトブック事業が1.6%増の37億95百万円、空中ディスプレイ事業が38.5%増の2億円としている。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。

■空中ディスプレイ「浮空ライブステージシリーズ」

 なお空中ディスプレイ事業のASKA3D技術を活用した「浮空(うくう)ライブステージシリーズ」の販売を開始し、先行販売は即完売となった。個人向け卓上サイズの空中ディスプレイ「浮空ライブステージHome」は、背面にスマートフォンを設置することで、空中映像による推し活体験を実現(スマートフォンで流れるライブ映像が空中に浮かび上がる)する。IP関連企業やライバー・VTuberのキャラクターアイテムとしてのビジネス展開に適しているため、IP関連・キャラクターとのコラボ商品としての展開を予定している。大型サイズの空中ディスプレイ「浮空ライブステージ匠(たくみ)」は、大型サイズの空中結像でキャラクターやコンテンツを等身大で表示できるだけでなく、会話やハイタッチなど双方向のインタラクティブなコミュニケーションも可能なため、集客やSNSでの拡散を目指すイベント・スポーツ会場、商業施設・体験型施設、自治体関連施設などでの設置に適している。

■株価は反発の動き

 株価は安値圏で軟調だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。12月9日の終値は347円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS16円60銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS342円98銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約61億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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