三井物産、米Fervo社へ出資参画、次世代地熱の事業展開を加速

■データセンター向け電力需要の増加に対応、米国での事業基盤を強化

 三井物産<8031>(東証プライム)は12月11日、次世代地熱の生産技術・事業開発を手がける米国Fervo Energy Company(ファーボ)への出資参画を発表した。地熱発電は天候に左右されない安定電源として国際的に期待が高まる一方、従来技術では地質条件に制約があるため、拡大とコスト低減が課題となっていた。Fervo社が進めるEGS方式は水平掘削や水圧破砕といった地下開発手法を応用し、立地制約を大幅に緩和する特徴がある。米国ではAI・クラウド需要に伴うデータセンターの電力需要が増加する中で普及が見込まれ、日本でも第7次エネルギー基本計画で早期実装が打ち出されている。

 Fervo社は次世代地熱のリーディング企業の一つであり、3.5MWの実証案件(ネバダ州)では既に操業を開始し、Googleのデータセンターへ全量売電している。さらに100MW規模の商業案件(ユタ州)を建設中で、2026年以降の運転開始を予定し、最終的に500MWと世界最大級の地熱発電への拡張を目指す。米国カリフォルニア州の大手電力会社Southern California Edisonなどが電力購入を決定しており、事業基盤の強化が進む。三井物産は従来型地熱や上流資源開発で培った知見を活かし、同社との協働を通じて米国での事業開発を進める構えである。

 三井物産は今回の出資を、次世代地熱や核融合などクリーン安定電源の事業拡充と位置づける。同社は既に京都フュージョニアリングやCommonwealth Fusion Systemsへ出資しており、データセンター関連事業を展開する米国Crusoeにも参画している。エネルギー供給からデジタル分野まで広がるバリューチェーンでの取り組みを強化し、日本・アジアでの次世代地熱事業展開も視野に入れる。三井物産は、持続可能な安定供給基盤の構築と環境との共生という重要課題の実現に向け、事業領域の拡大を進める方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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