【木村隆のマーケット&銘柄観察】ヤマハはピアノ事業の立ち直りで来期も続伸の見込み

木村隆のマーケット&銘柄観察

ヤマハ<7951>(東1)が高値圏で頑強な動きを続けている。レーティングの引き上げ、最上位継続、目標価格の引き上げなど、ここにきてアナリストの評価が前進していることが人気化の背景。楽器事業では一時期中国、新興国での減速懸念あったが、それも解消され出直り場面となっている。円安は中間決算よりさらに進んでおり、今期は再増額の余地が生まれてきた。

同社は世界的にも高い知名度を持つ総合楽器メーカー。鍵盤楽器のみならず、打楽器、弦楽器など多様な楽器を製造する。製品カテゴリーとしても、普及価格帯製品からプロ向けの超高級製品まで幅広く供給。少子高齢化の進む国内市場に対し、潜在需要の顕在化が期待される海外市場、中でも中国などアジア市場での成長を目指している。楽器のほか、音響機器、電子部品事業を手掛ける。

今期の営業利益は前期比12%増の290億円を見込んでいる。成長の源泉はピアノ事業にある。中国ではヤマハ音楽教室を継続拡大し楽器演奏人口を拡大している。また、ピアノの需要が大都市から地方都市に拡大しつつあり、販売網を拡大している。新興国ではブラジル、インドネシア、インド、ベトナムなどを重点国とし成長を加速する方針だ。

また、エレクトロニクス領域では電子楽器、業務用音響機器などでは徹底的な差別化を図り、市場シェアを拡大する方針を打ち出している。合わせて、楽器の生産部門を子会社化し海外製部品・材料を活用してコストダウンを図るなど、コスト競争力の強化にもとりくむ。

この結果、今期の営業利益は会社側見通しを上回る295億円への増額、そして来期は325億円への一段の飛躍が見込まれている。(木村隆:日本証券新聞取締役編集局長を経て株式評論家)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る