【材料でみる株価】ヤマダ電機の『ご用聞きサービス』に注目、家電・日用雑貨350万品目を対象、350円挟んだモミ合い放れる

ヤマダ電機 9831

材料でみる株価 ヤマダ電機<9831>(東1・売買単位100株)は国内での販売強化策のひとつとして、地域の電器店との関係を発展させて顧客の自宅に訪問して、家電や食品、日用雑貨など約350万品目を販売する「ご用聞き」サービスを新年4月から開始する予定だ。同社は子会社のコスモス・ベリーズを通じて全国で340地域の電器店と商品供給する関係を構築している。今回はこの関係をさらに強化し、電器店の店主がなじみのお客の自宅に直接、訪問しヤマダ電機が配布するタブレットを使用して同社の取り扱っている商品を販売する。売れた商品は同社の配送網などを使用して自宅に届けるというものだ。

現在、同社の店舗は全国で1000店を超えており、飽和状態にある。他店との販売競争の激化などもあって、最近の既存店の販売は伸び悩んでいる。こうした事態を打開するために「ご用聞き」という新サービスを開始した。これが、うまく軌道に乗れば、新たな収益源を確保することが出来る。

ただ、問題点としては、顧客の自宅に訪問して販売するというのだけではなく、「ご用聞き」というネーミングから想像しても分かるように、きめの細かいサービスがどこまで提供できるのか、というところを注意深く見守っていく必要があろう。たとえば、高齢者から「蛍光灯が切れたので換えてほしい」という要望が電器店に届いたらすぐに対応できるのかなど、本当に困った事が起きたら「電器店に連絡しよう」という関係が築き上げられるのか。それが出来たら同社の収益はもっと格段に良くなってこよう。同社はその可能性を秘めていると考えられる。

当面の業績は消費税アップの影響を受けて振るわない。ちなみに2015年3月期の業績は売上高1兆6920億円(前期比10.7%減)、営業利益320億円(同6.6%減)、経常利益410億円(同18.3%減)、当期純利益177億円(同5.2%減)と減収減益を余儀なくされる見込みである。

続く来期は消費増税の影響は薄れ、白もの家電の販売増加や住宅事業の好調などから、売上高1兆8000億円(今期予想比6.4%増)前後、営業利益400億円(同25%増)前後、経常利益500億円(同22.0%増)前後、当期純利益225億円(同27.1%増)前後を確保するという見方が出ている。

この時点での予想一株当たり利益は29円(今期予想19円)に向上する。配当は6円を据え置くものと見られる。

さて、株価だが2014年1年間は下限300円前後、上限400円前後のボックス相場を形成してきた。11月も406円まで買い進まれたが、その後は360円前後まで下押した。上限を一気に突破するためには、「ご用聞き」サービスが順調に推移して、現実に収益見通しが明るくなると。そして株価面での需給関係が改善するということが条件としてあげられよう。

現在、信用買い残高が4300万株に膨らんでおり、上値は重い。このため、目先的には一進一退の動きとなりそうだが、中期的な投資を考えている投資家にとっては、面白い銘柄であることに間違いないと思う。足元では350円を挟んだモミ合いを上に放れる動きを強めている。500円をめざすものとみられる。

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