アベノミクスの「地方創生」の対極に位置する東京都関連株は「未辛抱相場」のサブテーマ株に浮上も=浅妻昭治

編集長の視点

<マーケットセンサー>

新年相場は早くも1週間、期待通りの新春相場、ご祝儀相場、お年玉相場を展開したかといえばやや想定外であった。日経平均株価は、急落したあと急反発したものの、連休前の9日終値現在では、昨年大納会の大引け値を下回ったままだ。世界的にアップ・サイドかダウン・サイドかどちらの方向性が優勢なのか、日替わりの波乱含みが続き、まだはっきりとしたトレンドが発生したとはいえない。まさに今年の干支の相場格言通りに「未(ひつじ)辛抱」の相場推移となっていて、強気か弱気か決めかね、はやる気持ちを抑えての「忍の一字」の辛抱となっている。

この「辛抱」がいつまで続くかは、外部環境の好転待ちで歯痒いことこの上ない。欧州中央銀行(ECB)の追加の量的金融緩和策は、1月22日の理事会で決定されるのか、ギリシャのユーロ圏離脱不安は、25日の同国の総選挙で織り込み済みとして決着をみるのか、前週末9日に1バーレル=47.16ドルまで落ち込んだ原油先物(WTI)価格は下げ止まるのかなどまったく予断を許さず、さらに前週末に発生した新聞社を襲撃したフランスのテロ事件は、昨年10月に世界的に景気や株価に冷や水を浴びせたエボラ出血熱の感染拡大と同様のネガティブ材料とならないかとまで懸念される。

「辛抱相場」では、1月末からスタートする決算発表を先取り、業績相場を期待して主力株に一方的に買いを傾けるより、市場の内部資金主導で動意付く材料株、いわゆるモメンタム株で幕間をつなぐのが投資セオリーである。現に、新年相場では直近IPO(新規株式公開)株の一部が、短期筋の資金を集めて軽快足を発揮し、直近の東証1部昇格銘柄が、需給好転思惑を強めて高値を追った。1月26日に召集される通常国会を先取り、補正予算・新年度予算関連人気を高めている「地方創生」関連株もその一角に位置する。

この地方創生株の対極に位置する銘柄といえば、もちろん東京都関連株である。同関連株は、「アベノミクス」の成長戦略に関しては、冷や飯組で、都市と地方、大企業と中小企業、正規労働者と非正規労働者、富裕層と非富裕層などの間に広がっている格差拡大を解消するために、地方経済のてこ入れ策として地方交付税の大盤振る舞いが閣議決定されており、この圏外ポジションを余儀なくされているためだ。いや圏外どころか、ヒトとカネとモノを地方から吸い上げ一極集中を加速させる悪役・敵役視さえされかねず、現に安倍内閣の経済対策・税制改正には大企業の本社を東京から追い出そうという露骨な格差解消策までが盛り込まれた。

こうしたムードに異を唱えたのが、東京都の舛添要一知事で、東京から地方への企業移転を促進する税制が来年度税制に新たに導入されることに関して、「日本経済の再生に果たす大都市の役割を軽視するもの」とコメントを発表している。かつて江戸時代の幕藩体制下では、江戸へのモノ・ヒトの出入りを規制する「入り鉄砲出女」なる社会・治安維持対策が採られたが、まさにこの真逆の悪政というわけだろう。

ところがこの東京都関連株、舛添知事に同調したわけではないだろうが、新年の株式市場では、メーンテーマ株の地方創生関連株に対抗するかのように意外に健闘しているのである。もちろんこれは、東京都には2020年に開催する東京オリンピックというビッグ・プロジェクトが控えていることがバックグラウンドを形成しているためで、ここは「未辛抱」相場のサブテーマ株として、素直に東京都関連株の動意をフォローしてみるのも、あるいは逆転の発想で投資妙味株の発掘につながるかもしれないのである。

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