【どう見るこの相場】円相場の行方

日米 国旗
【急ピッチの反動、113円前後も想定に、原油安には副作用も】

■銘柄入れ替えを検討するところに来ている

<Q>円相場が121円台から一気に119円台へ円高となっている。125円は早いとみられていたのになぜか。

<A>短期間に急ピッチで円安(ドル高)が進んだことでドルに対し利益確定売りが出ている。200日線とのカイリ率が15%台まで拡大し2013年5月の17%台以来の高い水準となり警戒感も指摘されていた(本紙8日付け)。

<Q>世界景気の不安も言われているようだが、原油安は世界景気にとってプラスではないのか。

<A>確かに、身近なところではガソリン価格が下がり、とくに車社会のアメリカにはかなりの額の消費刺激効果があるとみられている。日本でも値上がりしていたガソリンが下がったことで安心して正月は帰省できるという声も聞かれる。運送会社にプラス効果は大きいし化学会社にとっても原料安効果が期待できる。もちろん、日本の貿易収支改善にも効果がある。

<Q>それなのになぜ、欧州などの経済の先行きに不安が持たれているのか。

<A>産油国にとって原油安は収入の大幅減少につながる。早くもロシアは資源価格下落による収入減少の影響で先行き経済への不安から通貨ルーブルが下落している。中東など産油国においても同様の展開となっている。ロシアや中東との貿易取引が多い欧州にとっては、産油国の不振は足元の経済停滞にさらに追い討ちをかけることが心配されている。産油国や欧州の経済減速は中国にも波及しアメリカ経済も影響を受けるという懸念が急速に高まっている。

<Q>今後、為替はどう動くのか。

<A>短期的にはドルの短期急騰に対する反動の落ち着きどころを探る展開だろう。10月15日の105.7円前後から12月8日の121.8円前後まで2カ月弱で約16円のドル高・円安が進んだ。この振幅の半値水準とみれば113円前後までの円高(ドル安)の揺り戻しは予想される。一方、欧州など世界景気の不安ということでアメリカの金利引上げは先延ばしとなることは予想される。この面からは日米金利差によるドル高・円安の可能性は薄くなってくる。G7などの緊急経済会議が開催されるかどうか注目される。

<Q>日本株はこれまでの円安買い相場が変わることになるか。

<A>素直に受け取ればそうなるだろう。今の時点では単なる揺り戻しの円高か、あるいは基調が変わったのかは見極めがつけにくいが、少なくともマーケットではやされていたような早晩128円に行くという見方は後退するだろう。これまで、トヨタなど円安関連銘柄だけが買われる展開だったが、この動きは今後、徐々に修正されるのではないだろうか。とくに、今週末の選挙で安倍政権が勝利すれば円安に頼った政策から離れ、むしろ円高政策を採る可能性は予想される。アベノミクス第3章の地方創生にはむしろ円高のほうが都合がよいからだ。内需関連株に人気が移る可能性はあるだろう。銘柄の入れ替えを検討するところに来ているようだ。

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