【株式市場特集】リスクヘッジ銘柄として再度「金関連株」に注目

 今週の特集は、当たり前過ぎるが、リスクヘッジ銘柄として当欄で何回も取り上げてきた金関連株にもう一度、注目することとした。金先物価格も、前週末18日は利益確定売りで小反落したが、17日夜には1トロイオンス=1905.0ドルと昨年6月以来、8カ月ぶりの高値をつけ、2020年8月につけた最高値2089ドルも視界に捉えている。また金関連株には、金先物価格の上昇とともに業績を上方修正した銘柄も含まれている。セカンドチョイスのセカンドチョイスとして資産のセクターアロケーション(配分)の見直しで買い増勢となっている高配当銘柄とともに、貨物船のハッチカバーが開くまで活躍場面が続くと期待したい。

■金先物価格は史上最高値に迫り見直すたびに業績上方修正・増配を牽引

 金価格関連株の代表は、世界最高品位の菱刈鉱山を保有する住友金属鉱山<5713>(東1)だろう。銅、ニッケル、金の想定資源価格を期初予想から2回上方修正し今3月期業績も2回上方修正し、今3月期の純利益は、前期の過去最高を大幅更新予想にある。このうち金価格は、期初想定の1トロイオンス=1700ドルを1787.4ドルまで引き上げたが、足元の金価格は、1900ドル台とこれを上回っている。株価は、2回目の業績上方修正、増配に反応して上場来高値5730円まで買い進まれたが、なおPERは5.9倍、配当利回りは4.14%と割安である。同じ黒鉱の産金株のDOWAホールディングス<5714>(東1)も、同様に今3月期業績を3回上方修正し、配当も増配しており、今年2月に上場来高値5240円まで買い進まれたが、PERは6.3倍と割安である。ファンダメンタルズ面からも安全資産買いを強力サポートしよう。

 貴金属リサイクル関連株は、今年1月~2月の四半期決算発表時には今3月期通期業績の上方修正はなかったが、揃って四半期業績が通期予想業績対比で高利益進捗率を示しており、金先物価格の動向次第では業績上ぶれ着地も期待される。中外鉱業<1491>(東1)、アサカ理研<5724>(JQS)、アサヒホールディングス<5857>(東1)、松田産業<7456>(東1)の再人気化も有力となる。番外銘柄では、商品先物会社で金地金販売に特化の第一商品<8746>(JQS)が、2月17日に金地金20キログラムの売買契約を1億3200万円で締結したと発表し、132円高値まで20%超の急伸をして前週末には往って来いとなったが、穴株人気が再燃するかもしれない。

■業績を4回、配当を3回上方修正の大手海運2社を先頭に高配当銘柄も多士済々

 高配当銘柄は、3月期決算会社の全市場ベースの年間配当利回りランキングで、上位30位までランクインする銘柄がセレクト対象となる。トップの日本郵船<9101>(東1)の配当利回りは11.67%、30位のタチエス<7239>(東1)でも5.47%と市場平均を大きく上回る。日本郵船と同業の商船三井<9104>(東1)も、配当利回り11.17%で第2位であり、両社とも今3月期業績を4回上方修正し、配当を3回増配している。日本郵船は、前週末18日に昨年9月以来5カ月ぶりに1万円大々台を回復したが、PERはわずか1倍台の評価にしか過ぎない。海運株ではほかにNSユナイテッド海運<9110>(東1)が第7位、乾汽船<9308>(東1)が第9位にランクインしている。同じ業績上方修正・増配組では大手鉄鋼株のジェイ エフ イー ホールディングス<5411>(東1)が8.36%で第4位、日本製鉄<5401>(東1)が、6.86%で第6位となっている。

 資源関連の商社株では住友商事<8053>(東1)が、5.78%で第21位となるが、準大手・専門商社では明和産業<8103>(東1)が、10.57%で第3位のほか、日鉄物産<9810>(東1)の6.00%、三信電気<8150>(東1)の5.96%、神鋼商事<8075>(東1)の5.74%など住友商事より上位を占める。低位値ごろ株・小型株では、浅沼組<1852>(東1)が6・77%で第8位、マミヤ・オーピー<7991>(東2)が6.05%で第14位、コニカミノルタ<4902>(東1)が5.96%で第16位、コナカ<7494>(東1・9月期決算)が5.59%で第27位などとなっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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