【注目銘柄】大阪有機化学工業は半導体向け積極設備・開発投資を見直し関連株買いが増勢

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 大阪有機化学工業<4187>(東1)は、半導体製造向けのフォトレジスト市場が高成長していることに対応して、積極的な成長戦略を推進しており、昨年5月開示の新規設備建設に続き、今年3月8日には新規研究・試作設備の増設を発表したことをテコに関連株買いが増勢となっている。今2022年11月期業績は、市場コンセンサスを下回る予想となっているが、PER評価は半導体関連株として相対的に割り負け、配当も連続増配を予定していることも下げ過ぎ修正のサポート材料となっている。

■新生産設備建設に研究設備増設が続き次世代レジストにも対応強化

 フォトレジスト(感光剤)は、半導体製造に使用され半導体の需要拡大とともに高成長し、同社は、エステル化技術と有機合成技術を融合させ、現在主流のArFレジスト用原料の供給に加え、次世代のEUVレジストの生産体制も構築中である。このため昨年5月に約45億円を投資して金沢工場(石川県白山市)に新規設備の建設を発表し、今年3月には約30億円を投資して同工場内に新規研究・試作設備を増設することを発表、レジスト用原料の高品質化の要望に対応するとともに、一段のシェア拡大を目指す。

 一方、今2023年11月期業績は、売り上げ330億円(前期比5.7%減)、営業利益59億円(同0.8%増)、経常利益61億5000万円(同1.7%減)、純利益42億円(同16.0%減)と前期の過去最高業績に対して増減マチマチの予想となっている。新たに「収益認識に関する会計基準」を導入した影響もあるが、利益水準そのものは、市場コンセンサスを4億円超下回る。今年4月8日には、今期第1四半期(2021年12月~2022年2月期、1Q)決算の発表を予定しており、どのような進捗を示すか注目される。また業績伸び悩み予想にもかかわらず今期配当は、配当性向30%を指標とする利益還元方針に基づき年間52円(前期実績50円)と連続増配を予定し、またすでに3月3日に終了したが35万株(発行済み株式総数の1.56%)、10億円超の自己株式取得も行った。

■昨年来安値から底上げ途上でPER14倍の修正でまず3分の1戻し目指す

 株価は、昨年5月の新規設備建設では前期業績の上方修正・増配も伴い4570円の戻り高値まで700円超高したが、足元では今期業績の伸び悩み予想で昨年来安値2503円まで倍返しとなる大幅調整となり、新規研究・試作設備増設とともに200円幅の底上げ途上にある。PERは14.5倍と半導体関連株として出遅れ、25日移動平均線からも5.4%の下方かい離と下げ過ぎを示唆しており、まず戻り高値から昨年来安値への調整幅の3分の1戻し水準の3100円台回復を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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