【どう見るこの相場】パウエル・ショックの激変緩和?!割安東北銘柄に遅ればせの「初の白河の関越え」ご祝儀相場も一興

どう見るこの相場

 やや旧聞に属するが、今年の夏の全国高校野球選手権大会(甲子園大会)は、宮城県代表の仙台育英高校の初優勝で幕を閉じた。第1回大会以来、108年目の東北勢の初優勝であり、深紅の大優勝旗が、古くから関東地方と東北地方の境界となってきた白河の関を越えた。東北勢は、これまで春・夏の大会を通じて13度も決勝戦で涙をのみ高校野球では出遅れ地域とされてきたが、あの決勝戦の満塁ホームランは、そうした歴史の重みを一気に払拭する快打となった。ご同慶の至りである。

 実はこの決勝戦には、高校球児らにははなはだ迷惑な話だろうが、歴史フアンなら必ず興味をかきたてられるもう一つの側面があった。戊辰戦争のリベンジがなるか返り討ちにあうかどうかである。戊辰戦争とは、元号が慶応から明治に改元される境目で勃発した国内最大の内戦である。錦の御旗を掲げた薩摩・長州・土佐藩などを主力とする明治新政府軍と、新政府には恭順の意を表さなかった旧幕府軍や東北諸藩の同盟軍との間で激しい戦闘が繰り返され、会津藩(福島県)の白虎隊の悲劇にも代表されるように旧幕府軍や東北同盟軍の降伏に終わり、戦後処理も東北諸藩には過酷であった。今回の甲子園の決勝戦は、期しくも宮城県(仙台藩)代表の仙台育英高校と山口県(長州藩)代表の下関国際高校の間で戦われたいわば高校野球版の戊辰戦争ともなる。結果的に今回の仙台育英高校の初優勝は、戊辰戦争終結以来153年目のリベンジとなったともみることもできるのである。

 いずれにしろ、今回の108年目の仙台育英高校の初優勝は、あの東日本大震災や今年8月月初の大雨による激甚災害などによって大きな被害を受け続ける東北地方の被災者の復旧を目指す気持ちを強く後押しするはずである。2013年のプロ野球・日本シリーズでの東北楽天ゴールデンイーグルスの日本一が、復旧・復興に大きく貢献したことが連想される。現に足元の株価効果でも、福島県に本社を置くスポーツ用品店チェーンのゼビオホールディングス<8281>(東証プライム)や青森県が地盤の地銀のプロクレアホールディングス<7384>(東証プライム)の年初来高値追いに一役買っている。

 そこで今週の当特集では、初の白河の関越えで注目度アップの東北地方に本社を置く上場会社や地銀株を取り上げることにした。東北地方銘柄には、ナショナルブランドの主力株はないものの、ニッチ(隙間)トップのハイテク株や資源株、素材株、独自ビジネスモデルの小売り株が少なくない。しかも東北地方銘柄のハンディキャップから投資採算的に割り負け水準の放置されているケースが大部分を占める。

 きょう週明けの東京市場は、前週末26日にニューヨーク工業株30種平均(NYダウ)が、1008ドル安と急反落した「パウエル・ショック」を受けてスタートすることになる。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、ジャクソンホール会議の講演会で「家計や企業の痛みをもたらす」のを前提に金利引き上げ加速のタカ派政策を表明しており、日本株も「痛み」を避けられないかもしれない。そうした激変必至の市場環境下では、激変を緩和させる割安東北地方銘柄への遅ればせのご祝儀相場も一興となる可能性はありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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