生化学工業は23年3月期3Q累計減収減益、通期減収減益予想据え置き

(決算速報)
 生化学工業<4548>(東証プライム)は2月8日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。そして通期減収減益予想を据え置いた。第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形となっているが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。株価は昨年来安値圏に回帰の形だが、23年3月期減収減益予想は織り込み済みであり下値眼底的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。

■23年3月期3Q累計減収減益、通期減収減益予想据え置き

 23年3月期第3四半期累計連結業績は、売上高が前年同期比7.0%減の261億62百万円、営業利益が45.4%減の34億07百万円、経常利益が38.9%減の42億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が32.4%減の36億28百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。なおロイヤリティーを除く原価率は44.2%で0.5ポイント低下した。薬価引き下げ影響を売上構成比変化で吸収した。販管費は2.7%増加した。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため研究開発費が減少(研究開発費は8.6%減の53億55百万円)したが、為替換算を含む海外子会社の費用が増加した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は1億85百万円、今期は3億96百万円)した。

 医薬品事業は売上高が16.2%減の179億53百万円、営業利益が68.2%減の13億95百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が3.5%減の88億50百万円、海外医薬品が2.7%増の69億22百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が11.5%増の21億78百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツが薬価引き下げの影響を受け、前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが円安も寄与して増収だが、複数回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の影響で前年同期並みだった。中国の複数回投与の関節機能改善剤ARTZは、包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が22.1%増の82億09百万円、営業利益が8.6%増の20億11百万円だった。海外子会社ACC社における円安効果に加えて、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円、第3四半期は売上高が89億04百万円、営業利益が7億97百万円、経常利益が6億18百万円だった。

 通期の連結業績予想(22年11月8日付で公表)は据え置いて、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)も据え置いて22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想としている。利益面では、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想としている。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形となっているが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は22年11月の戻り高値圏から反落して昨年来安値圏に回帰の形だが、23年3月期減収減益予想は織り込み済みであり下値眼底的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。2月8日の終値は829円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約471億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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