アルコニックスは23年3月期3Q累計減益、通期減益予想据え置き

(決算速報)
 アルコニックス<3036>(東証プライム)は2月8日の取引時間中に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。売上面は一部商材の取扱数量増加や非鉄市況の上昇などで増収だったが、利益面は調達コストの上昇や販管費の増加などで減益だった。そして通期減益予想を据え置いた。ただし第3四半期累計の進捗率は順調だった。積極的な事業展開で第4四半期の挽回、さらに24年3月期の収益拡大を期待したい。株価は小幅レンジでモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。第3四半期累計業績に対してはネガティブ反応が優勢になったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■23年3月期3Q累計減益、通期減益予想据え置き

 23年3月期第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比18.9%増の1357億12百万円、営業利益が13.9%減の72億55百万円、経常利益が13.1%減の76億50百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が22.1%減の50億92百万円だった。

 売上面は一部商材の取扱数量増加、非鉄市況の上昇、自動車関連の新規案件などで増収だったが、利益面は円安による調達コストの上昇、新規連結した子会社の損益取込に伴う販管費の増加などで減益だった。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は65百万円、今期は3億24百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前年同期は2億74百万円、今期は87百万円)したが、負ののれん発生益3億46百万円を計上した。特別損失ではのれん償却額1億70百万円を計上した。

 セグメント別利益(経常利益)は、商社流通の電子機能材が市況および為替要因による取扱数量増加で6.0%増の33億74百万円、商社流通のアルミ銅が調達コストの上昇で20.2%減の13億01百万円、製造の装置材料が自動車関連材料や検査・試験装置の出荷減少で10.3%減の11億06百万円、製造の金属加工が自動車関連や半導体実装装置向け部品の出荷減少で31.6%減の18億83百万円だった。

 商社流通の電子機能材は、スマホ関連需要減速の影響で二次電池材料の取扱数量が減少したが、電子部品・半導体材料向けのニッケル製品が堅調に推移した。レアメタル・レアアースは、自動車生産調整の影響で取扱数量が伸び悩んだが、市況上昇効果で売上高・利益とも増加した。

 商社流通のアルミ銅は、製品分野においては堅調な国内建設需要を背景にアルミ圧延品や伸銅品の取扱数量が増加したが、IT関連事業の減速で電子部品向け伸銅品の取扱数量が減少した。原料分野においては自動車生産調整の影響で銅・アルミスクラップおよびアルミ再生塊の取扱数量が減少したが、非鉄市況の上昇や円安の影響でアルミ再生塊の取扱数量が増加した。

 製造の装置材料は、米国および中国の両拠点でめっき材料の需要が拡大したが、装置分野において、自動車を中心とする部品調達不足に伴う顧客の操業度低下の影響により、非破壊検査およびマーキング双方の装置需要が落ち込んだ。

 製造の金属加工は、金属精密加工部品が堅調だったが、半導体実装装置向け精密切削加工部品がスマホ需要減速の影響で低調となり、精密金属プレス部品も自動車生産調整の影響で減少した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が468億37百万円、営業利益が39億31百万円、経常利益が42億51百万円、第2四半期は売上高が453億77百万円、営業利益が17億51百万円、経常利益が18億54百万円、第3四半期は売上高が434億98百万円、営業利益が15億73百万円、経常利益が15億45百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比8.8%増の1700億円、営業利益が17.4%減の91億円、経常利益が18.3%減の90億円、親会社株主に帰属する当期純利益が9.4%減の68億円としている。配当予想は22年3月期と同額の52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。

 全体の予想は据え置いたが、セグメント別利益(経常利益)計画は組み替えて、商社流通の電子機能材が10.1%減の38億40百万円(前回予想は28億円)、商社流通のアルミ銅が29.1%減の14億40百万円(同12億円)、製造の装置材料が6.8%減の11億60百万円(同12億円)、製造の金属加工が25.8%減の25億60百万円(同38億円)とした。商社流通分野を上方修正、製造分野を下方修正した形となる。

 23年3月期は、コロナ禍や地政学リスクに起因する物流の混乱、原材料の供給不足などによる生産・出荷の一時的な落ち込みなど、事業環境の不透明感を考慮して期初時点で減益予想としている。第3四半期累計の進捗率は売上高79.8%、営業利益79.7%、経常利益85.0%、親会社株主に帰属する当期純利益74.9%と順調だった。積極的な事業展開で第4四半期の挽回、さらに24年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は小幅レンジでモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。第3四半期累計業績に対してはネガティブ反応が優勢になったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。2月8日の終値は1337円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS225円87銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の52円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1889円53銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約415億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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