マーケットエンタープライズは23年6月期2Q累計赤字縮小、通期黒字転換予想で収益回復基調

(決算速報)
 マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は2月14日に23年6月期第2四半期累計連結業績を発表した。成長に向けて広告・採用等の先行投資を継続しているため販管費が増加して赤字だったが、前年同期比では各事業が好調に推移して大幅増収となり、粗利率改善効果も寄与して赤字縮小した。四半期別に見ると第2四半期は営業黒字転換した。そして通期黒字転換予想を据え置いた。積極的な事業展開で中期経営計画が順調に進捗して収益回復基調だろう。株価は上値が重く安値圏でモミ合い展開だが、一方では徐々に下値を切り上げている。第2四半期累計業績に対してややネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■23年6月期2Q累計赤字縮小、2Qは営業黒字転換

 23年6月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比34.5%増の73億86百万円、営業利益が43百万円の赤字(前年同期は2億04百万円の赤字)、経常利益が73百万円の赤字(同2億21百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が1億34百万円の赤字(同1億77百万円の赤字)だった。

 成長に向けて広告・採用・新規拠点開設等の先行投資を継続しているため、販管費が増加(6億06百万円増加して27億26百万円)して赤字だったが、前年同期比では各事業が好調に推移して大幅増収となり、粗利率改善(1.5ポイント上昇して36.3%)効果も寄与して赤字が縮小した。

 ネット型リユース事業は、売上高が31.0%増の40億71百万円セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が5.6倍の1億21百万円だった。3領域とも増収(個人向けリユースが18.4%増の29億74百万円、マシナリーが92.7%増の10億23百万円、おいくらが15.9%増の73百万円)となり、増収効果で損益改善した。個人向けリユースでは出張買取人員の採用を強化するとともに、首都圏の買取能力拡充に向けて千葉市にリユースセンターを開設した。マシナリーでは法人向け販売体制を強化した。おいくらは従来の従量課金制から月額定額制に移行したため加盟店数が減少したが、1店舗当たり売上が大幅に拡大した。リユース促進の自治体との連携数は16自治体となった。

 メディア事業は売上高が50.7%増の3億93百万円、利益が60.6%増の2億30百万円だった。送客対象となる商品・サービスの領域拡大を推進し、収益性の高いキーワードにおける検索ランキングが堅調に推移した。その結果、通信以外の分野の売上が大幅に増加し、収益基盤の分散化が進展した。

 モバイル通信事業は売上高が38.6%増の29億95百万円、利益が71.6%増の87百万円だった。メディア事業との連携強化で自社通信メディアからの送客が堅調に推移し、他社が運営するメディアへの露出を積極的に行ったことも寄与して新規回線獲得数が増加した。積極的な広告宣伝活動で一時的にコストが増加したが、ストック型収入(回線料収入)の増加で吸収した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が36億71百万円で営業利益が57百万円の赤字、第2四半期は売上高が37億15百万円で営業利益が14百万円の黒字だった。第2四半期は営業黒字転換した。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年6月期比25.1%増の150億円、営業利益が3億円の黒字(22年6月期は3億19百万円の赤字)、経常利益が2億75百万円の黒字(同3億28百万円の赤字)、そして親会社株主帰属当期純利益が1億67百万円の黒字(同4億04百万円の赤字)としている。

 部門別売上高(調整前)の計画は、ネット型リユース事業が47.9%増の98億04百万円(個人向けリユースが45.9%増の75億円、マシナリーが46.5%増の20億円、おいくらが2.4倍の3億04百万円)、メディア事業が16.9%増の7億円、モバイル通信事業が2.9%増の50億円としている。

 個人向けリユースを中心に成長戦略を加速するため、広告・採用等の先行投資を継続するが、事業を譲り受けたファミリーの中古農機具買取・販売事業とのシナジー効果なども寄与して大幅増収・黒字転換予想としている。そして、中期経営計画の最終年度24年6月期の目標値である売上高200億円、営業利益12億円の達成に向けて、成長戦略再構築の進捗は順調としている。積極的な事業展開で中期経営計画が順調に進捗して収益回復基調だろう。

■株価は下値切り上げ

 株価は上値が重く安値圏でモミ合い展開だが、一方では徐々に下値を切り上げている。第2四半期累計業績に対してややネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。2月15日の終値は984円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円39銭で算出)は約31倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS197円95銭で算出)は約5.0倍、そして時価総額は約52億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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