【株式市場特集】2Q業績上方修正銘柄の中から、通期業績も上方修正の可能性が高い銘柄を探せ!

■通期業績の上方修正に期待できる素材株や小型エレキ株が目立つ

 今回、注目したいのは、夏相場の後半安場面で逆行高した業績上方修正銘柄のなかで、上方修正は第2四半期(2Q)累計業績のみにとどめ通期業績は期初予想の据え置きとした銘柄である。原材料価格の落ち着き、価格転嫁の進展、円安・ドル高の寄与などで第1四半期(1Q)業績が想定を上回って2Q業績を上方修正したが、下期はこれが継続するか不透明として保守的に見込んだ結果である。この慎重予想銘柄は、2Q決算の発表直前で不透明材料にも見通しがついて通期業績を精査し、通期業績の上方修正に踏み切るケースも想定され、上方修正の確度の高い銘柄として浮上する可能性がある。上方修正候補株のスクリーニングでも、優先順位上位となるはずである。

 もちろんなかでも重点的にマークするのは、2Q累計業績が上方修正されていったん高値まで買われても、もなお株価が割安水準にあるバリュー株が望ましい。スクリーンングにマッチする優先度の高い銘柄は、化学、鉄鋼、セメント、金属製品の素材株や小型エレクトロにクス株、消費関連株などに目立ち、値ごろも所属市場もマチマチだが、幅広く再度のイコール・パートナー相場、「業績相場2.0」をサポートしてくれるのを期待したい。

■同業他社の業績伸び悩みのなか化学株3社は上方修正しセメント関連は黒転幅拡大

 化学株で2Q累計業績のみ上方修正したバリュー株は、コード番号順に石原産業<4028>(東証プライム)、日本カーバイド工業<4064>(東証プライム)、大倉工業<4221>(東証プライム)である。化学株全般が、原油価格上昇の影響で業績を下方修正する銘柄が目立つなか、価格転嫁がスムーズに進んだことなどが要因となった。電炉株では、多くが3月期通期業績を上方修正したのとは対照的に上方修正を2Q累計業績のみにとどめたのは、共英製鋼<5440>(東証プライム)、東北特殊鋼<5484>(東証スタンダード)で、上方修正の要因となった鉄スクラップ価格の低下が下期なお不透明としており、東北特殊鋼のPERはやや割高の18倍だが、PBRは0.5倍に過ぎない。セメントの住友大阪セメント<5232>(東証プライム)、セメント二次製品の日本興業<5279>(東証スタンダード)も、前年同期の赤字からの2Q累計業績の黒字転換幅を拡大させた。

 アルミの日本軽金属ホールディングス<5703>(東証プライム)、金属製品のオーナンバ<5816>(東証スタンダード)、アルインコ<5933>(東証プライム)、東洋シヤッター<5936>(東証スタンダード)、カネミツ<7208>(東証スタンダード)、新家工業<7305>(東証スタンダード)なども浮上し、PER評価が市場平均を下回るのはもちろん、PBRは1倍割れで、年間配当利回りは、新家工業の4.23%をトップに日本軽金属HD、アルインコなどが3%を上回る。

■小型エレキ株は増益転換銘柄が多く情報関連、不動産、地銀株にも該当株

 小型エレクトロニクス株では、YKT<2693>(東証スタンダード)、寺崎電機産業<6637>(東証スタンダード)、ジーエス・ユアサコーポレーション<6674>(東証プライム)、AKIBAホールディングス<6840>(東証スタンダード)、遠藤照明<6932>(東証プライム)、日本抵抗器製作所<6977>(東証スタンダード)、萬世電機<7565>(東証スタンダード)などが、2Q累計業績のみの上方修正組で期初の減益予想が増益転換する銘柄が多い。エレクトロニクス株の主力人気株は、半導体関連株、生成AI(人工知能)関連株となっているが、その主力株人気をサポートしよう。

 消費関連株では、テイクアンドギヴ・ニーズ<4331>(東証プライム)、ハークスレイ<7561>(東証プライム)、東京ソワール<8040>(東証スタンダード)、ベルパーク<9441>(東証スタンダード)と続く。このほか情報関連のソルクシーズ<4284>(東証プライム)、ノバシステム<5257>(東証スタンダード)、両毛システムズ<9691>(東証スタンダード)、人材派遣のnmsホールディングス<2162>(東証スタンダード)や不動産のウィル<3241>(東証スタンダード)、物流のビーイングホールディングス<9145>(東証スタンダード)、さらに銀行株では大分銀行<8392>(東証プライム)が数少ない上方修正銘柄のなかで2Q累計業績の上方修正で仲間入りしており、マークする必要がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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