【どう見るこの相場】秋空とともに秋相場も早めの助走開始か?企業業績のイコール・パートナー相場に注目

■「業績相場2.0」は2Q業績のみ上方修正のバリュー株から有望銘柄スクリ-ニング優先順位

 株価と企業業績とはイコール・パートナーである。決算発表が日々、ひっきりなしに続いており、株価がそのたびごとに一喜一憂する。業績の上方修正や好決算なら株価が好感高する正のイコール・パートナー相場となり、下方修正や減益・赤字決算なら嫌気売りされる負のイコール・パートナー相場になる。だから上場会社の開示情報や大手プレスの業績観測報道、証券アナリストの業績見通しなどからは目が離せず、早乗りできるか早逃げできるかで勝ち組、負け組のパフォーマンス格差も生じる。

 今年の夏相場は、7月早々の四半期決算発表以来、業績の上方修正銘柄や市場コンセンサスを上回る好業績銘柄などが相次ぎ前半高の正のイコール・パートナー相場に沸き立った。ところが8月早々からは、米国の長期金利の上昇や中国恒大集団の破産法適用申請などで急落する後半安へと方向を大きく変えた。ただこの後半安場面でも、個別株ベースでみれば、なおイコール・パートナー相場が存続し逆行高する銘柄も目立った。業績を上方修正する銘柄が想定以上に多く、ストップ高で反応する銘柄が、全市場で10銘柄を超える日もあって投資家心理的に全般相場を下支えした。

 以来ほぼ2カ月、いよいよ秋相場である。台風13号の通過とともに、秋空がこののほか早く上空に広がりそうだが、秋相場も、秋空と同様に早めの助走開始となるかもしれない。足元の9月序盤相場は、夏相場の後半相場と同様に米国の長期金利高止まり、中国景気の先行き不透明化などアゲインストである。これをブレークスルーするとしたら、企業業績のイコール・パートナーへの期待である。決算発表がこの期待通りに進行するなら、10月からは「業績相場2.0」のシーズン入りとなるはずである。

 となればイコール・パートナー相場への下準備である。マーケットでは、このためすでに業績上方修正候補株のスクリーニングと催促相場が始まっている。1Q業績が通期業績に対して高利益進捗率を示した銘柄や、為替相場が1ドル=147円台後半まで円安・ドル高に進んでいることに関連して、トヨタ自動車<7203>(東証プライム)を先頭にした自動車株などの為替感応度の高い銘柄などが、下馬評に取り沙汰されている。

 そこで注目されるのが、夏相場の後半安場面で逆行高した業績上方修正銘柄のなかで、上方修正は第2四半期(2Q)累計業績のみにとどめ通期業績は期初予想の据え置きとした銘柄である。原材料価格の落ち着き、価格転嫁の進展、円安・ドル高の寄与などで第1四半期(1Q)業績が想定を上回って2Q業績を上方修正したが、下期はこれが継続するか不透明として保守的に見込んだ結果である。この慎重予想銘柄は、2Q決算の発表直前で不透明材料にも見通しがついて通期業績を精査し、通期業績の上方修正に踏み切るケースも想定され、上方修正の確度の高い銘柄として浮上する可能性がある。上方修正候補株のスクリーニングでも、優先順位上位となるはずである。

 もちろんなかでも重点的にマークするのは、2Q累計業績が上方修正されていったん高値まで買われても、もなお株価が割安水準にあるバリュー株が望ましい。スクリーンングにマッチする優先度の高い銘柄は、化学、鉄鋼、セメント、金属製品の素材株や小型エレクトロにクス株、消費関連株などに目立ち、値ごろも所属市場もマチマチだが、幅広く再度のイコール・パートナー相場、「業績相場2.0」をサポートしてくれるのを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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