【東京商工リサーチ調べ】「ジャニーズグループ」取引先調査結果、上場企業は30社、売上高100億円以上は80社

■ジャニーズ事務所の性加害問題で取引先にも影響

 東京商工リサーチは9月13日、ジャニーズグループと取引する企業を調査し、その結果を公表した。ジャニーズグループとは、ジャニーズ事務所と同社ホームページに掲載がある13社のことである。ジャニーズ事務所は日本を代表するエンターテインメント企業の一つで、幅広い分野の企業と取引している。

 調査では、ジャニーズグループと直接取引(1次)や間接取引(2次)を行う企業を抽出した。その結果、全国で226社が取引先となっていた。このうち、上場企業は30社(構成比13.2%)で、売上高100億円以上が80社(同35.3%)、資本金1億円以上が92社(同40.7%)だった。産業別ではサービス業他が最多の89社だった。大手企業との取引比率が高く、取引の見直しが増加する恐れがある。

 同事務所は8月に、創業者のジャニー喜多川氏が少年に対して性加害を行っていたことや、適切な調査や対応をしていなかったことを認めた。この問題は国際的にも注目されており、コンプライアンス(法令遵守)違反への対応は厳格だ。すでに一部の上場企業は、同事務所の所属タレントの広告起用を見直すなど、影響を受けている。

 ジャニーズグループは未上場で外部のチェックが効きにくく、これまで決算の官報公告もほぼ行っておらず、財務状況などの情報開示にも消極的だ。また、同族経営の弊害やガバナンス(経営体制)の脆弱性も指摘されている。企業は社会の公器だが、その分野で絶対的な存在になると、経営者の考え方次第でステークホルダー(利害関係者)との関係が歪になりかねない。

 ジャニーズグループは大株主(資本)と経営者(経営)が一体で、株主や取引先の意向に左右されることはなかった。それだけに今後、どこまでコンプライアンスを徹底できるか注目される。ジャニーズグループの取引先は、自社のイメージやガバナンスにも配慮しながら、取引の継続や見直しを判断する必要があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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