JSPは24年3月期通期利益予想を2回目の上方修正、三菱瓦斯化学との資本業務提携解消

(決算速報)
JSP<7942>(東証プライム)は10月31日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。海外での販売増加、製品価格改定、北米における原料価格軟化、為替の円安影響、コスト削減などにより大幅増益だった。そして通期予想を上方修正(利益予想は23年7月31日付に続いて2回目)した。押出事業は想定を下回るが、ビーズ事業が好調に推移する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお公開買い付けによる自己株式取得を発表した。現在の親会社である三菱瓦斯化学<4182>が所有株式の一部を公開買い付けに応募する。そして23年12月22日付で三菱瓦斯化学が親会社に該当しないこととなり、15年2月に締結した資本業務提携を解消する。株価は地合い悪化の影響で9月の年初来高値圏から急反落の形となったが、23年3月期通期利益予想の2回目の上方修正、三菱瓦斯化学との資本業務提携解消、1倍割れの低PBRなどを評価して上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期2Q累計大幅増益、通期利益予想を2回目の上方修正

24年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比3.4%増の664億32百万円、営業利益が131.3%増の32億47百万円、経常利益が94.4%増の36億17百万円、親会社株主帰属四半期純利益が102.8%増の27億95百万円だった。

ビーズ事業における海外での販売増加、製品価格改定、北米における原料価格軟化、為替の円安影響、コスト削減などにより大幅増益だった。なお前回予想(7月31日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正)に対して、売上高は5億68百万円下回ったが、営業利益は2億47百万円、経常利益は4億17百万円、親会社株主帰属四半期純利益3億95百万円、それぞれ超過達成して着地した。

押出事業は売上高が0.2%減の208億23百万円、営業利益(全社費用等調整前)が4.7%減の10億12百万円だった。全体として製品価格改定を進めたが、販売数量の減少、高付加価値製品の販売減少、ユーティリティコスト高騰などの影響で減益だった。分野別の売上状況としては、生活資材製品は食品容器用「スチレンペーパー」や広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」が減少して減収、フラットパネルディスプレイ用「ミラマット」を中心とする産業資材製品は高付加価値製品、汎用製品とも減少して減収だった。押出ボード「ミラフォーム」を中心とする建築土木資材製品は、土木分野が減少、建築・住宅分野が前期並みだったが、製品価格改定や高付加価値製品の増加により増収だった。

ビーズ事業は売上高が6.3%増の427億38百万円で営業利益が266.6%増の27億79百万円だった。全体としては販売数量が減少したが、高付加価値製品の販売増加や製品価格改定効果などで増収・大幅増益だった。主力の発泡ポリプロピレン「ピーブロック」は非自動車分野が好調だった。

その他は売上高が9.6%減の28億70百万円で営業利益が68.8%減の26百万円だった。一般包材が、国内では自動車部品輸送関連の需要の影響により減少、中国では各種部品関連の需要の影響により減少した。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高320億49百万円で営業利益12億71百万円、第2四半期は売上高343億83百万円で営業利益19億76百万円だった。第2四半期は第1四半期比でも大幅増益だった。

通期の連結業績予想については10月31日付で上方修正(利益予想は23年7月31日付に続いて2回目)し、売上高が23年3月期比3.3%増の1360億円、営業利益が113.1%増の63億円、経常利益が102.2%増の68億円、親会社株主帰属当期純利益が97.5%増の50億円としている。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。予想配当性向は29.8%となる。

前回予想(7月31日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正)に対して、売上高を10億円、営業利益を7億円、経常利益を9億円、親会社株主帰属当期純利益を7億円、それぞれ上方修正した。押出事業は全体として想定を下回るが、ビーズ事業が好調に推移する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は地合い悪化の影響で9月の年初来高値圏から急反落の形となったが、23年3月期通期利益予想の2回目の上方修正、三菱瓦斯化学との資本業務提携解消、1倍割れの低PBRなどを評価して上値を試す展開を期待したい。10月31日の終値は1873円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS167円74銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3076円73銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約588億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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