【編集長の視点】SUBARUは業績上方修正・増配を見直す、防衛事業の存在感も高まる

■売られ過ぎ修正期待が再燃

 SUBARU<7270>(東証プライム)は、今年10月31日に突っ込んだ今年7月中旬以来の安値2510円からのリバウンド幅を拡大させている。同社株は、前週末2日取引時間中に今2024年3月期業績の上方修正と増配を発表したものの、材料出尽くし感で同日の高値から一時、200円安と急落する場面があったが、今3月期業績は前期の過去最高を大幅に更新し、増配で年間配当利回りも3.2%に高まることを見直し売られ過ぎ修正期待の買い物が再燃した。ウクライナや中東情勢の緊迫化による地政学リスクに対応し、ヘリコプターや練習機などを製作する防衛関連株的な業態も、潜在材料として意識されている。

■想定為替レートを円安方向で見直し為替差益拡大が業績押し上げ

 同社の今3月期業績は、期初予想より売り上げを4500億円、営業利益を1200億円、経常利益を1600億円、純利益を1100億円それぞれ引き上げ、売り上げ4兆6500億円(前期比23.2%増)、営業利益4200億円(同57.0%増)、純利益3200億円(同59.7%増)と見込み、純利益は、前期の過去最高(2004億3100万円)を1200億円も上回る大幅な連続過去最高更新となる。国内販売台数は、期初予想の12万6000台から11万6000台と伸び悩むが、海外販売台数が、同88万4000台から89万4000台と伸びて通期販売台数は、期初予想通りの101万台と前期比18.5%増と続伸し、価格改定効果や為替差益が上乗せとなったことが要因となっている。

 想定為替レートは、期初予想の1ドル=128円から140円、1ユーロ=138円から150円と円安方向で見直した。同社の為替感応度は、1ドル=1円の円安で営業利益が100億円超増加すると推定されており、足元の為替レートは1ドル=149円台にあるだけに、今後の為替相場次第で再度の業績上ぶれの可能性も残る。今期配当は、業績上方修正に加え今年7月に創立70周年を迎えるのを記念して増配を予定し年間90円(前期実績76円)へ連続増配する。

■PER6倍、配当利回り3.2%の修正で年初来高値奪回に再チャレンジ

 株価は、今期業績の連続過去最高更新予想と自己株式取得との相乗効果で下値を切り上げ、今期第1四半期の好決算では年初来高値311円まで買い進まれた。同高値後は、自己株式取得終了や世界的な株価波乱のなか2633.5円まで下値を探り、決算発表期待で2890.5円までリバウンドしたが、業績上方修正・増配発表も材料出尽くし感から2510円と再び下ぶれた。PERは6.4倍、配当利回りは3.27%と売られ過ぎを示唆しており、年初来高値奪回に再チャレンジしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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