【東京商工リサーチ】個人情報漏えい・紛失事故が過去最多、上場企業の情報保護に課題

■2023年の調査結果を東京商工リサーチが発表

 2023年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、175件と過去最多を記録した。漏えいした個人情報は前年の約7倍の4090万人分に達し、日本人の人口を超える規模となった。事故の原因は、従業員の不正持ち出しや不適切な取り扱い、サイバー攻撃など多岐にわたる。個人情報の保護に対する取り組み強化が急務である。

■従業員の不正やサイバー攻撃が原因

 2023年の個人情報漏えい・紛失事故は、2012年からの12年間で累計1265件、1億6662万人分に達した。大型の事故が相次ぎ、最大はNTTグループで928万人分、2番目は出前館で924万4553件、3番目はNTTドコモで596万人分だった。これらの事故は、従業員が意図的に情報を持ち出したり、システムの誤設定により情報が閲覧可能になったりしたもので、ガバナンスの徹底が問題となった。

 また、不正アクセスによる事故も93件と最多を更新した。ランサムウェアによる被害が目立ち、被害の全容を把握できないケースも多かった。サイバー犯罪に対するセキュリティ強化が不可欠である。個人情報の漏えい・紛失事故は、経済的損失や信用失墜のリスクを伴う。事業価値の維持のためにも、個人情報の適切な取り扱いは一層優先して取り組むべき経営課題である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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