朝日ラバーは25年3月期大幅増益予想

(決算速報)
 朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は、5月14日の取引時間終了後に24年3月期連結業績を発表した。主力の自動車向けASA COLOR LEDの需要回復遅れなどにより減収、営業減益(経常利益は補助金収入などが寄与して横ばい、当期純利益は特別損失の増加で減益)だった。25年3月期は自動車関連製品の需要回復や通信分野の新製品量産化などにより大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は25年3月期大幅増益予想に対する反応が限定的だったが、徐々に下値を切り上げている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。

■24年3月期は営業減益、25年3月期は需要回復で大幅増益予想

 24年3月期の連結業績は、売上高が23年3月期比0.3%減の71億80百万円、営業利益が15.5%減の1億56百万円、経常利益が0.1%増の1億95百万円、親会社株主帰属当期純利益が34.1%減の1億33百万円だった。配当については23年3月期と同額の20円(期末一括)とした。配当性向は68.1%となる。

 主力の自動車向けASA COLOR LEDの需要回復遅れなどにより減収、営業減益だった。経常利益は営業外収益の補助金収入増加などが寄与して横ばい、親会社株主帰属当期純利益は特別損失の増加(減損損失、偶発損失引当金繰入額など)で減益だった。地域別売上高は国内が1.9%減の53億02百万円、海外が4.2%増の18億78百万円(アジアが4.3%増の17億48百万円、北米が7.0%減の1億08百万円、欧州が103.4%増の21百万円)だった。

 工業用ゴム事業は売上高が2.1%減の56億45百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が23.9%減の3億04百万円だった。自動車スイッチ用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーが増加したが、主力の自動車向けASA COLOR LEDの需要回復が遅れ、RFIDタグ用ゴム製品も低迷した。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が6.7%増の15億35百万円、セグメント利益が3.7%減の1億20百万円だった。売上面はプレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の好調で増収だが、利益面は販売構成差や試作コスト増加などが影響して減益だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が16億65百万円、営業利益が2百万円の損失、経常利益が11百万円、第2四半期は売上高が16億93百万円、営業利益が14百万円、経常利益が24百万円、第3四半期は売上高が18億91百万円、営業利益が1億02百万円、経常利益が98百万円、第4四半期は売上高が19億30百万円、営業利益が42百万円、経常利益が61百万円だった。

 25年3月期の連結業績予想は、売上高が24年3月期比8.2%増の77億72百万円、営業利益が79.6%増の2億81百万円、経常利益が34.8%増の2億63百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が36.7%増の1億83百万円としている。配当予想は24年3月期と同額の20円(期末一括)としている。予想配当性向は49.8%となる。

 工業用ゴム事業における自動車関連製品の需要回復、卓球ラケット用ラバーの堅調推移、通信分野の新製品の量産化、医療・衛生用ゴム事業における採血用・薬液混注用ゴム栓や医療シミュレータの受注増加などにより大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は下値切り上げ

 株価は25年3月期大幅増益予想に対する反応が限定的だったが、徐々に下値を切り上げている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。5月15日の終値は558円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS40円13銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1105円64銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約26億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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